□月光夜歌
1ページ/3ページ

人知れず逢瀬を重ねる


誰もあの人と私が深い関係であることを、知らない


私も別に周知の仲でいることにはこだわってはいないし


なんにしろ、二人だけの時は別人の様に優しいあの人に不満はない



…薄く柔らかい唇


…羨ましい程にきめの細かい白い肌


…逞しい腕



そして…私だけに
見せてくれる、少年の様な はにかんだ笑顔



なんども、何度も重ねあって
お互いの躰の傷を確かめ合っても


心の深い奥底にある
「なにか」についてだけは解り合えないのだろう


結局、自分は「独り」なんだなという感は拭えない



 ――――孤独――――



…何故?…どうして…?



確かに
今この時だけは愛されているはずなのに


あの人から伝わる、この温もりを
肌で、心で感じることができるのに…



淋しい想いは募るばかり





 ―――いつから私はこんなに脆くなったのか―――
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ