譚
□月下優宴
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光りが閉ざされた闇の中 声にならない声がする
……何故、戦うのだろう?何の為に………
誰の為に…この手を血に染めるのか
何れ程…その赤を咲かせれば…終焉りがおとずれる
いつになれば…光りに手が届くの?
――――誰か教えて
「 …っ 」
何だ… またこの夢か
暫く見てなかったのに……何を馬鹿な…今更―――
真っ暗闇から逃れる様に目を開けると
すぐさま見慣れた天井が飛込んできた
麻地の夏掛けをよけ、ゆっくりと上半身を起こした
あまり汗はかかない方だが、じんわりと嫌な湿り気が背中を伝う
自分でもらしくは無いと思っている
…けれど、体は正直だ なかなか震えは止まらない
『 …よォ 大丈夫か、さっちゃん…随分うなされてたぜ』
声のする縁側の方を向くと―――しじまに 夜風が さらさらと流れる音がする
まだ見慣れない、穏やかで優しい笑顔も…そこにある