2009銀誕記念

□秋霖迷子
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――― しとしと と…都会の雑踏の隙間をぬって響く音――――



―――雨は…別に嫌いな訳じゃないけれど…。


絶えまなく聞こえてくる雨の雫。その囁くような音は…ゆっくりと、ゆっくりと記憶の扉を叩いてくる…


だから、なのだろう…か?こんな雨が降る日は、不安になる。

もしも…あの人が側にいてくれたなら…何にも言わずに抱き締めてくれたなら…この不安定な気持ち、少しでも楽になるのだろうか。


…心にまで響いてくる雨音。それと共に落ちる雫は、あとからあとから止むこともなく現れては儚く消えていく波紋のラビリンスを生む。


まるで…そうね。喩えるならば、雨の星に辿りついて彷徨い歩く旅人のよう。


終着点が見えなく、このまま永遠に…灰色の世界で旅を続ける私の心――ーーー
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