゚フラチナ・タイム。

□戸惑い(金さち)
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もう、戻れない――――


このドアの中に、入ってしまったからには


後には…戻れない―――


******


『…何、つっ立ってんの?ほら、こっちに来なよ』


腕時計を外し、ネクタイを緩めながら貴方が振り向く


次の行動は何をするのか…頭で分かっていながらも…動けない


ただ、ドアの前で立ちすくむ


「…なんだか酔ったみたいだわ 貴方がベッドまで運んで」


『やれやれ…我が儘なお姫様だね、Baby…』


言葉のトーンは、とても穏やかだけれど…その瞳の奥は冷ややかな色



だから余計、悟られてはいけない

貴方の重荷になる事は――



真夜中に二人


シティ・ホテルの一室


ダウンライトに揺れる空間の中を、ゆっくりと此方へ歩いてくる貴方


明るい髪の色が、ライトの光りの欠片を集めて―――

輝いて見える…眩しい…



――――天使?



…でも、その妖しい微笑は…悪魔のそれにも見える




『ねえ…震えてるの?まさかね…自分から誘ってきたクセに』


「…ちょっと寒いだけよ
この部屋の空調が効きすぎてるんだわ」



『 …ふーん… じゃあ、これから温めてあげるよ』


そういって貴方は、私を抱き上げた
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