゚フラチナ・タイム。
□戸惑い(金さち)
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もう、戻れない――――
このドアの中に、入ってしまったからには
後には…戻れない―――
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『…何、つっ立ってんの?ほら、こっちに来なよ』
腕時計を外し、ネクタイを緩めながら貴方が振り向く
次の行動は何をするのか…頭で分かっていながらも…動けない
ただ、ドアの前で立ちすくむ
「…なんだか酔ったみたいだわ 貴方がベッドまで運んで」
『やれやれ…我が儘なお姫様だね、Baby…』
言葉のトーンは、とても穏やかだけれど…その瞳の奥は冷ややかな色
だから余計、悟られてはいけない
貴方の重荷になる事は――
真夜中に二人
シティ・ホテルの一室
ダウンライトに揺れる空間の中を、ゆっくりと此方へ歩いてくる貴方
明るい髪の色が、ライトの光りの欠片を集めて―――
輝いて見える…眩しい…
――――天使?
…でも、その妖しい微笑は…悪魔のそれにも見える
『ねえ…震えてるの?まさかね…自分から誘ってきたクセに』
「…ちょっと寒いだけよ
この部屋の空調が効きすぎてるんだわ」
『 …ふーん… じゃあ、これから温めてあげるよ』
そういって貴方は、私を抱き上げた