++Ark++

□愚かな問い、毒された華
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深夜家を抜け出した。
正解など無い問いの答えを求め、
夜になり闇に支配された街を、
私はただただ駆け抜けた。



夜になり闇に支配された見慣れた街は違う色をみせる。
細い月明りに照らされた路地は、私の胸を意味も無く高鳴らせた。


「私にはなんの意味があるの?」


月に向かって問い掛けたってなにも答えない。
月はただ、私を嘲笑う様に見下ろしていただけだった。


「…私は、正しい?」


誰も、答えない。


「…私は何故、ここにいるの?」


私の問いは、この寒々しい冬の夜空に溶けて消える。
嗚呼、もう月さえも雲に隠れてしまった。


「愚かだねぇ」


「っ、誰!」


「答え、知りたいんじゃないの?」


突如聞こえた声に眉を上げる。
振り返えれば闇に溶ける様に現れた、黒衣の男。
……知った様な口を聞くこの男が気に食わなかった。


「おじさん、知ってる?」


「おじさんじゃないけどなぁ…」


「人ってね、知りたいのに指図されるのが嫌なんだよ。だから、おじさんの答えが正しくても私はまた迷って喚く、だから意味ないよ、そんな事しても。」


「よく解ってるねぇ」


男は嗤った。
暗闇で表情は伺えなかったが何故か男の口許が弧を描いたのを、私の視界は捕らえてしまったのである。


――気味が悪い


私が一歩後ろに下がれば、まるで私の動作を真似する様に男も一歩私に近付いた。
ゆっくりとした動作で顔を覗き込む。
厭、嗚呼、駄目――


男のニヤけた口許、そして全く笑ってない細められた瞳が私の瞳に映り込んだ。


「そこまで自分を解ってて、君はなんで答えを探してるのかな?」


嗚呼、厭な男。
胸の奥を突く様な言葉――苦しくて、痛くて答えたくない。
なのに、男の言葉は私の口を開かせた。


「……そうして答えを求める自分を憐れんで同情して――そう、きっと自分に酔っているのね」


「クス…答え、出てたみたいだねぇ」


わざとらしく嗤う男。
逸らされない瞳は全然嗤ってない。
表面だけ、取り繕って――


「…貴方、は……」


「ん?あぁ…僕は烏哭、ただのしがない通行人だよ」


「嘘、貴方は――」


私の、心でしょう?


私の口から滑り出た言葉は、烏哭と名乗る細められた瞳を開かせた。


「僕が君の心…ねぇ、じゃあ君は僕の心になるのかな?」


「……」


「いやあ、初めてだなぁ…そんな事言われたの。」


クスクス――
烏哭の嗤い声が、路地に響く。
ゾワリと背筋が粟立った。
カタカタと震える躯。
これは恐怖じゃない、嗚呼やっと――


「貴方が――私の答えですね」




「正解」




月明かりがまた、雲間から差し込む。
照らされた男は――烏哭は、表面だけ穏やかに笑みを浮かべていた。


「やっと逢えた、やっと…私の――」



月がまた雲間に隠れ、そして再び顔を表した時――


彼等の姿は、闇へと溶けていた。



愚かな問い、毒された華
(惹かれあう運命、出会いは必然)








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あつみサマへ捧げます!
へへへー、なんでしょうかこれ。
ただの電波夢になっちゃいましたね!しぐまこれ得意!←
駄文で申し訳無いのですがあつみサマへ捧げますっ
よろしければ受け取ってくださいませ:)
それではこれからも末永く仲良くしてやってくださいませ*゜
ここまで読んでくださりありがとうございました+



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