*家宝*
□バースデーパニック
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「そういえば、今日は貴女の誕生日ですねぇ」
唐突に一色にそんな事を言われた。
確かに今日は私の誕生日だ。
それはともかく、一色が私の誕生日を覚えていたなんて。
その事実に感動を覚えていると、一色はあからさまにむっとした表情を浮かべた。
「なにか言いたそうですねぇ」
「ま、まさか」
ごまかすように笑えば、一色は納得しかねるといったように憮然とするが、咳ばらいを一つして無理矢理な笑みを浮かべた。
「という訳で、貴女の記念すべき日を祝いたいのですよ」
「なんで、そんな上から目線なの?」
やっぱり一色はどこか感覚がおかしいのかもしれない。
別にお祝いをされるのは嫌じゃない。
素直に嬉しい。
でも、なんとなく嫌な予感がするのはなんでだろう。
「プレゼントは何がいいですか?」
そう彼はにこやかに笑ってみせた。
ますます怪しい。
絶対に裏があるはず。