?*忍

□紫煙、逢瀬
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――――――





音楽教師ってのは便利だと。
忍足はそう思う。


「声、抑えなくていいぞ」

「…っ、…わかっとる…」

防音である音楽室を密室にすれば、こうやって俺の体を好きにできるのだから。

「はぁっ、…もっと…」

榊は下だけ剥かれた忍足を後ろから抱き、忍足の熱い高ぶりを上下に扱く。
榊の膝にある忍足の手が、スラックスをぐしゃりと握り締めた。

「…皺になるだろう」

「知らんもん…、アンタが…っ…気持ちええこと、するんが悪い…」

「…感じ易いお前が悪い」

「そんな体にしたセンセが悪い」

「…………」

忍足は首を捻って榊を見、眼鏡を外したその目は意地悪く笑っていた。
そう言われてしまうと、事実なだけに榊は何も言い返せない。

「ええからセンセ……もっとして…」

「……ああ」

散々擦った側面から、榊は先端に指を移す。
亀頭を親指と人差し指で挟みグリグリと押し潰すと、窪みから見る見る蜜が滲み出し、玉を作って側面を滴り落ちた。

「気持ち良いか」

「っ…んなこと、…聞かんでも分かるやろ…」

忍足の耳が赤く染まる。
この少年は、案外言葉責めに弱い。

「…確かに、聞かなくても分かるな」

「…っ…ぁ」

榊は性器への愛撫を止め、忍足の耳元に唇を寄せて息を吹き掛ける様に低く囁く。
すると忍足は大袈裟に肩を跳ねさせた。

「こんなに大きく膨らませて…」

「やっ、せんせ…ッ」

「それに、こんなに濡らしている」

「ぃ、やや…っ、やめて…」

忍足は両手で耳を塞ぎ、弱々しく頭を振った。
そんな嫌がる仕草とは裏腹に、身体は榊の言葉に興奮して、先端からとぷん…と蜜が溢れた。
榊は耳を塞ぐ忍足の手を剥がし、更に囁く。

「本当にやらしい体だな…、また溢れた」

「やだ…っ!」

「ちゃんと見ろ、…触って欲しそうに、震えている」

「ッ…やぁ…」

もう真っ赤になってしまった忍足は、固く目を瞑った。
…嫌だ、恥ずかしい。
でも卑猥な言葉に背筋はぞくぞくと甘く痺れ、股間はどくどくと脈を打つ。

「せんせ…、もぅ……やだ…ッ」

支えなしでも反り立つソレは、散々言葉責めに合って限界に近付いていた。
早く触って欲しい。
そう思っていると、耳を塞がないようにと忍足の手を掴む榊の両手のうちの片手が動き出す。

「な…?」

困惑しながらその手が向かう先を見つめていると、榊の手は忍足の手を彼自身へと導き、熱いソレを握らせた。

「なに…っ!」

そして忍足の手ごと上下に動かす。

「あっ、やゃ…ッ」

忍足はもう片方の手で榊の手を剥がそうともがくが、そちらの手も榊に掴まれているためにできない。

「は…っ、あぁ…っ、ゃ…」

「嫌じゃないだろう…」

榊は手を動かし続け、忍足は追い詰められて行く。
忍足はすぐに抵抗をやめ、甘い声を発し、されるがままになった。

「っ…ん……はぁっ、も…っ」

急激に体が熱くなる。
イキそうだ。




「ア―――……?」


もう、達するというその瞬間。
パッと榊の手が離れ、性器には忍足の手だけが残る。

「なんでっ」

「ほら、動かさないと、可哀相だぞ」

「っ…」

榊の言う通り、手の中では性器がビクビクと震えて達したいと訴えている。

「どうした…、このままでいいのか?」

「…ぅ…」

振り向いて、助けを求めるように榊の顔を見る。
しかし榊は額にキスをしただけで、あとは涼しげな顔で見つめるだけだった。
忍足は諦めて、自身に視線を戻す。

(アホ…、変態…)

心の中で悪態を吐きながら、ゆっくりと手を動かした。

「…ッ…はぁ…」

…情けないことに、すぐにどうでもよくなった。
走る快楽に羞恥心が消え、忍足の手の動きは早くなる。

「忍足…」

榊はもう片方の手も開放し、すぐに忍足は両手で性器を弄り出した。

「あっ……はぁ、ん…っ」

「………」

いやらしい。
忍足をこんな風にしたのは自分のせいだと思うと、優越感と共に、罪悪感を感じる。

「…忍足…」

手の空いた榊は忍足の耳に名前を吹き込み、シャツの中に手を潜らせて滑らかな肌を撫で回した。

「んん…っ、せんせ……せんせぇ…ッ!」

忍足はしきりに榊を呼びながら、自分で先端を引っ掻くと白濁を吐き出した。
一瞬強張った身体が、糸が切れたようにくたりと榊に凭れかかる。
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