?*忍

□Foolish two boys
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俺は慈郎が好きで、好きで、好きで。

「忍足さぁ……いっつも俺のこと見てるね」

そう言われた時は、しまったと思いながら、嬉しいという気持ちもあった。
慈郎が俺を気にしてくれていた。……あれだけ毎日見つめていれば、当たり前のことかもしれないが。

「…ねえ、なんで?」

そう言って俺を見上げる慈郎の顔は、何か企んでいるように意地悪く、そして楽しげに口角を上げていた。
それはいつもの寝ぼけた顔でも、試合の時の無邪気な顔でもない。

「なんでなの?忍足…」

「……ぁ…」

不意に手を握られて、ビクリと体が反応する。
慈郎がクスリと笑い、俺の指と自分の指を絡み合わせる。
しっかりと握られた手から伝わる慈郎の熱、それに当てられたかのように俺の顔も熱くなり、握られていない方の手で顔を隠しながら震える声を絞り出した。

「…っじ…、…ジローんこと、っ…好き……やから…」

消え入りそうな声でそれだけ言うと、顔を隠していた腕をいきなり払われて、驚く俺の唇は慈郎の噛み付くようなキスに覆われた。

「…っンぅ…?!」

訳が分からない。
何故だか分からないが、慈郎にキスをされている。
しかしその事実は嬉しくて、舌に絡み付く慈郎の舌が気持ち良くて、唇の端から唾液が零れるのも気にならず、ただただ身体が高ぶって行くのを感じた。
唇が離れた頃には二人とも息が上がっていて、俺はズルズルとその場に座り込んでしまった。慈郎も俺の前に膝をつき、今度は俺が慈郎を見上げる。

「忍足って、すっげーヤラシイ…」

そう言いながらタイを緩める慈郎を、俺はたぶん期待の眼差しで見つめていただろう。

「俺のこと、好きなんだよね…?」

俺の服に手を伸ばす慈郎に、俺は黙って頷いた。
慈郎は俺のシャツの釦を外しながら、耳元に濡れた唇を寄せる。

「だったら…抱いていい?」

聞いたことのない声で囁かれ、俺は小さく震えながら、また頷いたのだった。
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