?*忍
□忍足クンの災難
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(…随分と淫乱やな…)
つい先程まで嫌がっていたのに、今は快楽を受け入れているようだ。
彼を淫乱にしたのであろう張本人に目を向ければ、跡部は凭れかかる忍足の顔を楽しげに見つめていた。
「…気持ちいいか?侑士…」
「ぁ、ん…ッ」
忍足はこくんと頷き、擦り寄るように跡部の胸に深く凭れる。跡部は忍足の髪を優しく梳いた。
その光景が何だか悔しくて、忍足の意識を自分に向けたくて。
謙也は先端に歯を立ててやる。
「アー…ッ!」
途端忍足は、喉を反らせて悲鳴のような声を上げた。
「ぃっ……や…っ、謙也…ッ」
「…なに言うてん」
「やぁっ…ッ…、ア…ッ、あかんて…っ」
舌先を鈴口に捩じ込むようにぐにぐにと押しつける。
「気持ちええの間違いやろ…?」
「アァ…ッ!」
口内の忍足自身と腰がビクビクと震える。そろそろ限界が近いのだろう。
喘ぐ声と顔もいやらしさを増す。
「やらしい顔………謙也、もっと吸ってやれ」
跡部の手が謙也の頭に伸び、グイと忍足の股間に押しつける。謙也は息苦しさに唸り眉を寄せながらも、忍足を吸い上げた。
「アッッ、アァ―――!」
するといとも簡単に忍足は絶頂へと達し、背を反らせ謙也の喉奥に白濁を吐き出した。
謙也は顔をしかめながら性器から口を離し俯く。
「――ッは、ァ…、……け、謙也…っ」
忍足は、自分の吐き出した精液に咳き込み足下で蹲る謙也を見て、力の抜けた体をなんとか起こした
。
「謙也っ、ごめんな…っ、大丈夫?」
「ッ…、ッはぁ…ッ」
背を擦ってやれば次第に落ち着き、謙也はゆっくりと顔を上げた。
「っ…は…、…侑士…」
「謙―――…っン…む…」
突然、謙也の手が後頭部に回り、そのまま顔を引き寄せられると唇が重なった。
「っ…ふ、…ぁ……けん……ッ」
「…ん……」
謙也の舌は歯茎や上顎、至る所を優しく愛撫し、自分の精液の青臭さなどは不思議と気にならず、むしろ甘いとさえ感じる口付けだった。
トロリと脳が溶かされる。
「―――オイッ」
「ッ…ん…ァ……」
そんな二人を跡部は黙って見ていられるわけもなく、忍足の腕を引き無理やり引き離した。
自分の腕に抱き込み、顎を掴んで顔を上げさせる。
「……ンな面してんじゃねェよ…」
ひどく物欲しそうな顔の忍足に、跡部はきつく眉を寄せた。
「…そんなにキスして欲しけりゃ、俺がいくらでもしてやる…」
「ンン…!」
跡部は噛み付くように忍足の唇を奪った。
性急に舌を差し入れ、弱い部分を的確に攻める。
「ぅ……ふ、ァ…っ…」
激しいそれもまた、ひどく甘くて。
忍足は、もうどうにでもなれと開き直っていた。
跡部の首に腕を絡め、自ら舌を絡める。
謙也は向けられている忍足の腰を掴み、自分の方へと引き寄せた。
忍足の腕が跡部の首からずり落ちるが、それでも忍足は腕を突っ張り、顔を跡部に突き出して、キスを続ける。
「侑士…無視せんといてや…」
「…っ、ン…!」
謙也の指が入口を丸くなぞり、忍足の腰がビクリと震えた。
「ヒクついとる…」
そこはさっきまでの行為で忍足自身の先走りで濡れており、誘うように断続的にヒクンと引きつった
。
謙也は、まだ口を閉じているその入口に中指の先を当て、少し力を入れて押し上げてみる。
「…ンっ…」
「……入った…」
つぷりと、簡単に飲み込まれる先端。指一本くらいなら簡単に収まりそうだと判断し、謙也は一気に指を埋め込む。
「ぁ……っん…ぅ」
「なんや…、もう一本いけそうやな…」
「あぁ…ッ!」
中指に続いて人差し指も捩じ込むと、今まで跡部の唇に吸い付いていた忍足は堪らず唇を離し、謙也を振り向いた。
「やぁ……謙也…っ」
「やぁ…て、……かわええなぁ侑士…」
少し下がった眉尻に潤んだ瞳、紅潮した頬。
泣いた顔は見たことがあるが、こんないやらしい表情は見たことがない。
「ホンマかわええわぁ……はよ侑士んナカ、入ってまいたい…」
「けんやっ……ァッ」
穴を広げるようにグルリと指を回せば、忍足は跡部の腕にギュッとしがみつく。
「おい、ちゃんと慣らしてからにしろよ」
「わかっとるて」
確かに謙也も限界に近付きつつあったが、さすがにいきなり入れたりはしない。忍足を傷つける気なんて更々ない。