?*忍
□世界一強い恋人
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全てを収めた亜久津の、熱い吐息を耳元に感じた忍足は、ふっと体の力を抜いてうっすら目を開ける。
「…忍足…」
「ん…?」
髪を撫でる優しい手、額にキスをする唇。言葉で言われなくても、亜久津が何を思っているのか、自惚れかも知れないけれど分かるから、忍足はそっと亜久津の背に腕を回した。
「…なに赤くなってんだ」
「なってへんし…」
「ぁあ?……どっちでもいいけどよ」
いつも人を殴っているかもしれない手が、いつも煙草を咥えている唇が、自分に触れるときだけはひどく優しいのだと考えたら、恥ずかしくなった。
「ええから…はよ動けや」
「……可愛くねェ野郎だな」
「嘘吐け、かわええ思うとるくせに」
「鳴いてるときはな」
「ッ、あ!」
グッと突き入れられ、亜久津の思惑通りに声を上げてしまう。満足げに嫌な笑みを浮かべる亜久津を睨みつけても、揺さぶられたままでは迫力も何もないだろう。
「可愛い顔するんじゃねーよ」
「アホっ、…ッあ、…あぁ…ンっ…」
忍足は睨むことを諦めて、快楽に身を任せることにした。
壊れるんじゃないかと思うほどソファはギシギシ音を立て、結合部からは厭らしく粘ついた水音が響き、忍足は亜久津の背に爪を立てながら喘いだ。
「ッァ、あかん…っ、…あくつ…ッッ」
「ああ…」
ちゅ、と唇を吸われ、一層深く貫かれる。
「や、アッッ―――!」
されるがままに精液を吐き出し、内にも飛び散る熱液を感じた。
「もう一発だな…」
余韻に浸る間もなく、抜くこともなく、亜久津は続けざまにもう1ラウンド始めるらしい。
「ケダモノ…!!」
「人のこと言えねーだろが!少しは抵抗してみたらどうよ…」
「無理やな。俺あっくん大好きやもん」
「……きしょい」
「あ、照れとる〜!亜久津も言うてみぃ、侑士大好き!って」
「ッ誰が言うか!!さっさとヤるぞ…!」
「もう、ホンマかわええ奴ちゃのうvV」
「ッッ…!!」
誰かこのバカをなんとかしてくれ。
そうは思っても、やっぱり好きなのには変わりない。
「本当にウゼーな、お前…」
「え、ひどいんやないのそれ」
コイツにだけは一生かけても敵わないのだろうと、亜久津は溜め息を吐きながら忍足の唇にキスをした。
終