?*忍

□幸せループ
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「別れよう、って言うたらどうする?」

本を読んでいて、べつにその本の内容とは全く関係がないのだけれど、ふと思いついたからそのまま言葉にしてみた。
テレビゲームをしていた宍戸は静かに振り向いて、切なく責めるような目で俺を見る。

「別れたいの?」

宍戸の声はあまりにも情けなく表情は深刻で、俺はその予想外に大きな反応が嬉しかったことと、そんな宍戸を安心させるために、ヘラリと笑って見せた。

「ちゃうよ、例えばの話」

すると宍戸は立ち上がり、俺はどうしたのだろうかと宍戸を見つめる。
宍戸は俺がいるベッドに上がると俺の目の前に向かい合うように座った。

「宍戸……?」

スッと腕が伸びてきて、俺はそのまま抱きしめられた。

「よかった…」

ほっと吐かれる安堵のため息が耳をくすぐる。
俺はそのくすぐったさに小さく笑い、宍戸の背に腕を回して宥めるようにポンポンと叩いてやった。

「アホぅ、本気で言うわけないやろ」

宍戸は全く分かっていないのだ、こんなにも大きな俺の想いを。

「逆に別れようって言われたとしても、俺は宍戸を放す気なん、これっぽっちもあれへん」

そう言うと宍戸は抱きしめ合っていた体を少し離して、見つめ合ったその顔は、苦笑を浮かべていた。

「その言葉、そっくりそのまま返すぜ」

「無理やな」

「は?」

宍戸がそう言ってくれるのは嬉しいが、それはまずありえない話だ。

「俺は、宍戸が俺を好きな気持ちよりも、何倍も強く宍戸が好きやから」

俺から宍戸に別れを告げるなんて事は、絶対にありえない。
だから無理な話なのだと。
そう言うと、暫く呆気に取られていた宍戸はフッと吹き出して暫くクツクツと笑ったあと、自信満々にニヤリと笑んで俺を見た。

「その言葉も、そっくりそのまま返すぜ?」

今度は俺が呆気に取られるが、すぐに正気に戻り、少しムキになる。

「無理やて、俺の好きの方が強いんやて」

「だからそっくりそのまま返すって」

「せやから俺の気持ちのほうが強い…」

「そっくりそのまま返す…」

「俺の気持ちのほうが…」

「そっくりそのまま…」

二人ともムキになって、何度も同じ言葉を繰り返して。

「ははっ、これじゃいつまでも終われへん」

「まぁ、いいんじゃねーの?」

側から見れば呆れてしまうようなバカップルさに、仕舞いには二人で笑いだした。
幸せのループは、いつまでも終わらない。








宍戸さん誕生日にエロを断念して突発ショートストーリ。
どうしても当日に何かしたかったから…。
とは言っても短すぎ!!
とりあえず幸せそうな二人が書きたかった。
宍戸さんおめでとー!エロは近いうちに…!!!
☆2006.9.29☆

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