?*忍

□苺に練乳
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「ジローほれ、苺」

「おれ練乳なきゃ食えねーよ」

「…………」



あまい、あまい、かわいい果実。
とろりと練乳、さらに甘く。



「…ったく贅沢な奴っちゃなぁ…、ほれ練乳」

「さーんきゅ、……って出ないんですけど」

「振ってから絞り出しゃええやん」

「貧乏くせーなぁ…」

ブツブツと文句を言いながら、ふってふって、フタを開ける。
ぎゅうっと押すが…



「……出ないんですけどー?」

「おい、ちゅーかお前…ッ、こっちに向け―――!!」



ぶぷひゅぅっ



「あ、出た」



まぬけな音と、飛びだす白。
忍足の顔面にクリティカルヒット。
前髪に眼鏡に、鼻、頬、唇。たら…と垂れる、白いそれ。
その見事な光景に見惚れていると、
赤い舌がちろりと出てきて唇を垂れる白を舐めた。
その顔は、にっこり笑顔。


「……ジロー…」

あらら、怒ってる。
でも怖くないし、つーかエロいし。



「えへっ、おしたりメンゴ!ガンシャしちった!」

「ッッ――こンのアホンダラァ!!」


拳をかわしながらふと思う。

君が苺で、僕が練乳。
君をさらに美味しくするよ。

なんつって。




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