?*忍
□Upside down!!
1ページ/5ページ
上から押さえ付けられて、唇を覆われる。
「…っン…」
ねじ込まれる相手の舌が俺の舌を見つけだし、絡まされて、音を立てた。
「ふ……ぅ…っ」
ぼうっとする頭に、漏れる声。
……この声が忍足のモノだと思ったそこのアンタ。
ごめんなさい。
俺です、宍戸亮です。
でもこれだけは知っておけ。
一番悔しがっているのは、この俺です。
Upside
down!!
いつもこうだ。
中学生のくせに(俺もだけど)生意気に経験の多い忍足に、いつも優位に立たれる。
ベッドに押し倒したのは俺だったのに、いつの間にか俺が押さえ付けられていて、口の中を好き勝手される。
…しかも上手いときたもんだ。
(くそ…ッ、チカラ抜けてきた…)
これじゃあ抵抗しようにもできない。
…抵抗する気もないのだが。
好きなヤツにされているのだから悪くはないし、むしろ嬉しいとも思う。毎度毎度のことなので、まあ、簡単に言ってしまえばもう諦めたのだ。
宍戸がそんなことを考えているうちに、キスに満足したらしい忍足は宍戸の唇を一舐めすると顔を離した。
キスの余韻に潤んだ瞳が眼鏡越しに宍戸を見つめる。
「…宍戸…」
少し掠れた声が名前を呟き、甘えるようにギュッと抱き付いてきたから堪らない。
ガンガン攻めてくるくせにやはり可愛いと、忍足のことを思えてしまう自分は相当頭がイカれてるのだろう、と宍戸は思う。
「忍足…」
抱き付く忍足の首筋に吸い付くと、くすぐったいのか忍足は小さく震えた。
皮膚を軽く噛み、強く吸い上げる。
「…アっ…」
さっきよりも忍足の体が大きく震え、耳元で声が上がった。
宍戸は首に咲かせた紅い跡を満足げに舐め、顔を上げた忍足の唇に触れるだけのキスをする。
「強ぅ吸ったら……痛いやん」
「気持ちいいの間違いじゃねーの」
「…アホ…」
膨れる忍足は起き上がり、宍戸のタイに手を伸ばしてそれを解く。
次にシャツの釦を上から一つずつ外していくその手を宍戸は視界の端に見ながら、自身も忍足のタイを解き、少しずつ肌を晒していく。
しかし、釦もあと三つというところで宍戸は手を止めてしまった。
「ッん…」
宍戸のシャツはすでに左右に開かれていて、胸を這う忍足の手の平が突起を撫でたのだ。
手の平で突起を転がすように優しく撫でられて、快感に小さく息を吐く。
「っ……いやだ……」
「嘘や…」
忍足が耳元に唇を寄せ、クスクスと笑う。
胸を撫で回す手が突起に的を絞り、きゅっと摘まれる。
「やっ…め…!」
「立ってるもん、気持ちええんやろ?」
ちゅ、と耳の後ろを吸われる音がする。
手は突起を弄ったまま、忍足の唇は首を辿り、鎖骨を撫で、辺りに幾つかの跡を残し、指で弄る方とは逆の突起に辿り着いた。
唇から赤い舌が覗き、まだ立ち上がっていないその突起を舐める。
「んっ、ぁ…」
濡れた舌が柔らかい感触で何度も突起を撫で、すぐにそこも紅くぷくりと立ち上がった。
宍戸は両方の突起を弄られながら、悔しいのでなるべく声を出さないように、荒い呼吸を繰り返す。
「…はぁ…っ……は…ぁッ…」
「宍戸かわえぇ…」
顔を上げた忍足は、堪える宍戸の顔を見て言った。
指での愛撫はまだ続いており、執拗な愛撫に快感を痛いくらいに感じるようになったそこを、さらにきゅっと摘んで苛められる。
「ッゃ……おしたり…っ」
「気持ち良さそうな顔…」
呟いて、忍足は宍戸の頬を撫でると胸への愛撫を止めた。
忍足の両手は下に移動し、宍戸のスラックスを下着ごと脚から抜き取り、忍足自身もそれらを脱ぎ捨てて中途半端に釦を留めたシャツだけになる。
体勢は変わらず、宍戸の上に忍足が跨がったままだ。
「自分だけ気持ちようなるんはズルイで…」
少し頭を持ち上げている宍戸のモノを撫でながら忍足が唇を尖らせる。
「…お前ががっついてくるから、手ぇ出せないんだろーが」
溜め息混じりにそう言ってやると、忍足はますます機嫌を損ねた顔をして宍戸とぴたりと額を合わせた。