学園物小説
□† ウラハラナキモチ
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「センセー、また鈴木いないよー。」
クラスの生徒がまたそう言う。
俺の担当の国語の授業だけ、奴はヤル気が出ないと言い、いつもサボっている。
俺からしてみたら、問題児なのだ。
「またかぁ…はぁ、連れて来るから、このプリント目を通しておいてなー??」
俺はそう言い、教室を出た。
俺はこの学校に今年赴任してきた小早川大陽。
これで『ひろあき』と読むのだが、生徒たちは『読めない』と言う。
俺がまだ若いせいか茶化したように『たいよう』と読んでくる。
点がないから間違いだぞ、と言っても変なあだ名は学校中に広がり、教師の中でも『たいよう先生』と呼ばれてしまっている。
この変なあだ名をつけたのは、今探しに来ている鈴木大和がつけたものだ。
鈴木も下の名前が変わっていて、『ひろかず』と読むらしい。
そして、鈴木がいつも屋上でサボっているのを知っている俺は教室を出た足で、早足で屋上まで来た。
「おい、鈴木、授業出ろよーιお前のせいで国語だけ、進むの遅いんだからなぁ…」
「たいようの授業、眠くなる。」
「…それは、俺の授業の仕方、下手と言うことかぁ??」
「そうだね。」
こいつは…一応教師だから殴らないでいる。
毎回こうなんだ。
鈴木はどうしてか俺の授業だけ出ないのだ。
他の授業は出ていても、寝ていたり、うるさくしてないらしいので一応は出席扱いになっているらしい。
ただ、俺の授業の場合、出席もしてないからやっぱり出席が危ない訳で……
教師の俺が呼びにきているのだ。
何故だかわからないが、こいつは俺が呼びに行くと色々愚痴を言うが教室に戻ってくるのだ。
サボるなら、教師にわかんないように同じ場所にいつも居たりしないし、トコトンでないように反抗するモンじゃないのか??
と、俺は思うんだが…変なやつだ。
「全く…進路が決まっているからって安心するなよー??サボリが響いてなくなるってこともあるんだからなぁ…」
『進路』と言う言葉を出した途端に鈴木の顔つきが変わった。
「鈴木?…」
「たいようは、俺いなくなって嬉しいのか?」
いきなり、俺の胸元を両手で掴んで怒りながら言った。
「何だよっそんなこと言っ…」
-------------一瞬、何が起こったのかわからなかった。
俺の唇に何か…当たっている。
そして、鈴木が異様に近く感じた。
そのままどこかに意識が飛んだままだったが背中にコンクリートが当たった痛さで意識がはっきりした。
…俺は、生徒に…鈴木にキスされ、コンクリートの上に…押し倒されていた。
『こいつ…今までの反応って、俺に構って欲しかったからの行為だったのか…?』
そんなことを考えながらまだ唇を合わせている唇をこじ開けて、鈴木の舌が入ってきた。
『うわっ…、…こいつ、慣れてねーんだなぁ…』
俺は、何故か舌を入れられても冷静だった。
息が苦しくなってきたようで、鈴木は唇を一瞬離した。
それを見逃さなかった俺はその隙間に手をこじ入れてストップさせた。
「はい、ここまでな。今、授業中だぞ??生徒同士サボってんならまだしも…俺も授業中だし…」
鈴木を見上げながら言った。
鈴木は顔を赤らめながら言った。
「教室、いけない…」
ノロノロと俺の上からどく鈴木。
あまり動こうとせず、刺激を与えないようにしているらしい。
俺は、少し考えて言った。
「俺相手に勃つってことは…俺のこと好きなんだ??」
そう言いきった俺は、鈴木の顔を見た。
鈴木は俯きながらこくん、と頷いた。
俺は手を伸ばしズボンのを持ち上げて主張しているモノを手で軽く触りながら言った。
「コレ、どうにかしたいか??」
鈴木は俺のそんな行動に驚きながら、まだ触っている俺の腕を掴み『触るなっ』と言った。
俺は少し考えて『しょうがない』と言うと鈴木に言った。
「体育館の鍵、実は壊れているんだ。直そうと思ってんだが…体育館の中の倉庫…行けるか??」
唐突に突拍子もないことを言っているが、鈴木は少し考え頷くとヨロヨロと立った。
俺は屋上のドアを目指している鈴木に一応、釘を指した。
「人に、見つかんなよ?」
今の言葉を聞いているのかいないのか、返事が返ってこなかったためわからない。
まぁ平気だろうが……
視線を鈴木から外し、屋上から出て、教室を目指した。