NOVEL

□LOVE×VS
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LOVE×VS



今日もいつもと変わらない日だ

そう、いつもと変わらない日

ただ……

少しいつもよりも五月蝿い日かもしれない



黒の騎士団の一員であるライは部屋で明け方から始まった仮眠と称した熟睡を思う存分に味わっていた。
時刻は既に十一時を過ぎており、普通の人ならば寝すぎている時間だ。
しかし、突然の大声によって起こされた。幻聴だと思ったがその声は今も外から響いている。
日本でもブリタニアでも見かけることは難しい灰銀色の髪を掻き、寝ぼけ眼を覚ます。起き上がり、扉に向かう。
声からして、誰のかは大方予想がついていた。
溜息にも似た息を吐き、ライは大声の原因のいる場所に向かった。

ラウンジの近くまで来ると声の五月蝿さは一層に増してきた。
ライはまたもや、溜息にも似たモノを口から静かに吐き出した。何故なら、ライはその声に聞き覚えがある。というよりもその声の持ち主を確実に特定していた。
部屋の中に入ると案の定の事その原因となっている二人が口論していた。

「私です!」

「いいえ!私ですわ!」

大声の発生源――片方は、卓越なKMFの操縦技術で紅蓮弐式を駆る少女、紅月カレン。そして、もう片方は黒の騎士団最大の援助組織であるキョウトの姫君、皇神楽耶である。
二人は口論。扇と井上は二人を止めようと必死だ。横では玉城が五月蝿そうに、寧ろ切れる寸前という感じで雑誌を読んでいる。
ディートハルトとゼロは喧騒を聞こえないものとしているのか、テキパキと次の作戦に関する話し合いを行っていた。できるならば、この二人を止めて欲しいと願うがそれは期待するだけ無駄であると悟ったライは視線を動かす。
視線の先にいたのは積み重なったピザを黙々と食べているC.C.。ゼロのように聞こえない振りでもしているのかカレンと神楽耶の口論に興味を示している様子はなかった。
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