NOVEL

□不機嫌の後の御機嫌・後編
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結局、その日はルルーシュの部屋には戻らずに黒の騎士団アジトのラウンジでピザを大量に注文してヤケ酒ならぬ、ヤケピザで一夜を明かした。
朝になるとC.C.はふらふらしながらもクラブハウスまでたどり着いた。
いつもよりも値段が高く、旨いピザを何枚も食べたが気は晴れない。むしろ、旨いと思わなかった。
体の中に加算される独特な重力でまた吐き気が込み上げてくる。
それらと戦いながらやっとルルーシュの部屋にたどり着き、転がるようにベッドに倒れ込む。
体が安心したのか多少なりとも気分がよくなった。
だが、そうなると思考の方が回復してくるので昨晩の事を思い出さずにはいられない。
自分の想いは負けていないと思っていた。
ライも同じだと思っていた。思いたかった。
気心の知れている人間よりも自分を選んでもらいたかった。
病気で弱っている姿を見せれるほどの信頼を得ていないのだと痛感させられた。
自分がもしも、風邪を引いたならば喜んで見せただろう。風邪を引いて寝込んだなどと知ったら呆れつつも看病をしてくれたかもしれない。

ふとライに逢いたくなった。
抱き締めて白い肌の首元に顔を埋めて彼の匂いを嗅げば嫌な気分を全て忘れさせてくれる。
くだらない事で言い合いをしなければ今頃はライの部屋で今とは大違いの朝を過ごしていたかもしれない。
小さくドアの開く音が聞こえてくる。C.C.はその音に即座に反応して声をかける。
「誰だ?」
だが、ドアから入ってきた人物は愛しい彼ではなくこの部屋の主人だった。
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