NOVEL

□依存・夢中・症候群
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ゼロに提出する書類を入れたファイルを脇に抱えて、ライは彼の部屋に向かう途中にある一本道の廊下を歩いていた。
脇に抱えていたファイルから書類を取り出して、ちゃんと全てあるのか枚数を数えているとライは向こう側から誰かが歩いてるのを捉えた。
白衣を着こなし褐色の肌と額のチャクラの化粧が印象的な女性だ。

ラクシャータ・チャウラー

最近、黒の騎士団の技術部門に出向してきたインド軍区出身のブリタニア人技術者で黒の騎士団の技術開発担当。カレンの駆る紅蓮弐式、ライの月下の開発に大きく関わった人物だ。

「輝安鉱みたいよねぇ、その髪の毛って・・・・・」

すれ違いざまにライの灰銀色の髪の一房を摘んでラクシャータはそう言った。それに反応してライは驚いて立ち止まる。
日本人の多い黒の騎士団内では珍しいのか入団当初からよく言われていた。
綺麗な髪、珍しい色とはよく言われたが輝安鉱みたいだと鉱物に例えられて言われたのは初めての事だったので驚いてしまった。

「じゃあね」

くるくると髪の毛を思う存分にいじって満足したのか、ラクシャータはキセルを銜えて格納庫に向かって歩き出した。ライはその姿が見えなくなるまで疑問符を頭に思い浮かべながら佇んでいたが、やがて用事を済ませるために歩き出した。
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