戦国BASARA長編夢
□妖歌新月譚:紅
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自室として通された部屋。
…客間?縁側を通して庭が見える。開いている窓からはいい景色。
「ここが姫サンの部屋ね。勝手に城外には出せないけど、自由に使っていいって」
「…ごめんなさい」
彼の背中に向かい頭を下げた。
「えっ!?な、何?何!?」
振り向いて驚き戸惑う様子だった。
「私の事は構わないで下さい。逃げませんし、我が儘を言う気もありませんから」
逃げても行く場所はない。逃げた先にいた人に迷惑をかけるだけ。
佐助さんは目を丸くしている。
「これ以上ご迷惑はおかけしません……あやかしの世話など…」
佐助さんは私がただの毛色が珍しい女だと、あの中で最も早く気付くだろう。そして軽蔑すると思う。
「ぇ?え?何か心配?」
すごく慌てた様子。
落胆の為の期待ならいらない。
次の言葉を聞きたくなくて、耳を塞いでへたりこんだ。
佐助さんはふっと優しい笑みを漏らしたあと私に手を伸ばした。
「は〜い。人の話はちゃんと聞きましょうね〜」
両手首を掴まれ、耳から離される。
「ぃやっ!!」
自分の声なのに大きくて驚いた。
「あのね、誰も問答無用でとって食お…」
「如何致した姫ど…佐助ぇぇ!?」
さっきの声を聞きつけ走って来た幸村さんが思いっきり襖を開けた。
両腕を掴まれ腰と背を後ろに引いた私と、私に跨がる佐助さん。
幸村さんは状況を誤解し、そのまま佐助さんを殴り飛ばした。
殴られた佐助さんの手当をしながら、事の次第を佐助さんと私で説明し誤解を解いた。
佐助さんは苦労症なんだろうなぁ。