*HASHIRA'S*
□云えない想い
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・・・最近、リョーマがやけによそよそしい。
いつも、校内だろうが道端だろうが構わずにべたべたとまとわりついてきて、隙があれば手を繋いだりキスしたりしてきていたのに。
週末にはいつもなんやかんや理由をつけて泊まりに来ていたのに。
好きだ好きだとからみついてきていたのに。
最近は、部活が終わると桃城や英二と一緒に帰ってしまう。
以前は俺が部誌をつけたりメニューをチェックしたりするのをじっと眺めて待っていて、抱き付いたりキスしたりとちょっかいをかけてきていたのに。
週末にはいつものように家に来たが、触れてくることは一切なかったし、夕方には帰ってしまった。
・・・飽きられたのだろうか。
もともとリョーマは氷帝の跡部にいいように弄ばれていた自分を助け出してくれただけなのだ。
俺が不様にすがってしまったから、引き際がわからなくなってしまったのかもしれない。
校内でも校外でも、リョーマは物凄い人気だし、好きな人でもできたのだろうか。
充分有り得る、それならば仕方がない、と、冷静に受け止めようともがけばもがくほど襲ってくる、どうしようもない喪失感に、手塚は今日もため息をついた。
今日からテスト期間で部活ができない。
図書室で勉強して行こうかとも思ったが、体調があまり優れないため帰宅することにした。
「あ・・・」
下足室で偶然リョーマに出くわした。
「あ、部長。もう帰るんすか?」
「ああ。・・・おまえはまだ帰らないのか?」
「ちょっと用事があって。それじゃ、部長。お疲れ様っす」
そう言ってリョーマは行ってしまった。
そういえば、いつもは試験期間の度にわからないところを聞くという名目で家に入り浸るのに、今回はまったくそういう素振りはない。
そう思い当たってまた憂鬱になる。
・・・自分が何もしなくても、リョーマは傍にいてくれると信じきっていた。
それは信頼なんかではない、怠慢だ。
飽きられて当然だ。
飽きられないための努力など、何一つしていなかったのだから。
手塚は思わず自嘲の笑みを浮かべた。
去っていく愛しい人に、泣いてすがる資格もない。
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