*TSUBASA‐K×F‐*

□こころ
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…どうして、こんなことになったんだろう。

普通に会話してたのに、いきなり黒さまの目が据わって、まるで荷物みたいに担ぎ上げられた。

そして、部屋にあった大きな揺り椅子に下ろされ、両脚を大きく開かされた状態で片足ずつ椅子に縛り付けられた。

「黒たんどーしたのー?」

尋ねても、真紅の瞳にじっと見つめられるだけで解説は得られない。

「黒さま…?」

しばらくの間、居心地が悪いほどまっすぐ見つめられていたが、おもむろに服を引き裂かれた。

「…っ!」

不意打ちに驚き喉が鳴る。
無表情の黒さまは、冷たい瞳で淡々と、ただのぼろ布になったオレの服を剥がしていく。

やがて全裸に剥かれ、自由だった両腕も椅子の背もたれの高いところに縛り付けられる。

腰の辺りは多少動かせるものの、一糸纏わぬ姿を見せつけるような体勢で縫い止められてしまった。

「…抵抗しないのか」

黒さまが低い声で問う。

…あーあ。黒さま、めちゃくちゃ不機嫌だ。

オレはへにゃんと笑って黒さまを見上げた。

「だってー、抵抗したくても、腕も足も動かせないしー」

「縛る前はできただろ」

「そうなんだけどー」

笑って見せると黒さまの眉間に皺ができた。

そして、黒さまは引き裂かれたオレの服の残骸を拾い上げると、オレの目の回りに巻き付けた。

「あれー、黒むー?前が見えないんだけどー」

黒さまは無言だ。
かちゃかちゃと、無機質なものが軽くぶつかる音がする。

何も見えないから、少しだけ怖い。

「黒さま…」

無意識に、すがるような声が出た。
だが黒さまは何も言ってくれない。

「……ひゃぁっ!!」

突然、股間に冷たい感覚が走り、身体が跳ね上がった。

「黒さま…?なに…?」

どうやら、冷たい液体を腰の辺りから流されているようだ。
冷たさと、少しとろみのある液体が身体を伝う感覚に、腰がぴくぴく震えてしまう。

何も見えないから感覚が研ぎ澄まされて、ちょっとした刺激も大袈裟に受け止めてしまう。

「黒さま…っ!やだぁ…ゃ、ぃやぁ…」

液体が過敏な部分を伝う感覚にやっと馴れた頃、今までと違う感覚が腰の辺りに生まれた。
身体の中心が、何だか熱い。

ずくずくと疼く自身が勃ち上がって、蜜を流し始めているのがわかる。

「あぁん…ぅあぁ…!!」

前に魔術で欲情させられたときのような、自分の意思に関係ない強い情欲に襲われ、じっとしていられない。

「そんなに腰を揺らしてどうした?」

黒さまの冷たい声。
目隠しのせいで見えないけど、きっとあの紅い目に氷のような光を宿してオレを見下ろしてるんだろう。

それでも、久しぶりにかけられた言葉に安心した。

前が見えないから、黙っていられるとそこにいるのが黒さまなのかどうかわからない。
それが怖かったから。

縛られるのも意地悪されるのも別に構わない。
黒鋼がそうしたいのなら。

…殺されるのは、困るけど。

オレはまだ、生きていなければいけないから。






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