*TSUBASA‐K×F‐*

□はじまり
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「黒たーん♪」

「・・・」

「黒むー♪」

「・・・」

「黒わんわーん♪」

「・・・」

「わーん、黒さまが無視するー」


・・・戯れることはできても、すがることは決して赦されない。

わかっているのに。





「ファイさん?!」

「・・・え?」

サクラちゃんの声で我に返り、チョコレートが小鍋で煮たってふきこぼれていることに気付く。

「あ・・・」

慌てて火を止める。

「ごめんねー、失敗しちゃった」

ふにゃっと笑って見せたけど、この感受性の強いお姫様は騙されてはくれなかった。

「ファイさん、何だか疲れてるみたい。今日はもう休んで下さい」

「へいきなんだけどなぁー」

結局、半強制的にベッドに送り込まれてしまった。

「あーあ・・・」

眠ったって、どうせ悪夢しか見ない。

それでも暗い部屋で横になっているうちに、いつの間にかファイは眠ってしまった。




・・・おまえのせいで、不幸が訪れる

おまえのせいで。

おまえのせいで!!

生きているだけで、おまえは人を不幸にする!



「・・・おい」

唐突に、悪夢から引きずり出された。

「・・・くろ、さま・・・?」

黒鋼がひどく不機嫌そうな顔でベッドサイドに立っている。

「あー、うるさかった?ごめんねー」

笑顔を貼り付けて見上げると、黒鋼はますます不機嫌そうになった。

「もー、黒りんこわーい」

「・・・・」

鋭い眼差しに射すくめられ、ファイは内心ため息をついた。






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