*F×other*

□暴走
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「え…?」

テニス部のメーリングリストからきたお知らせを見て、俺は思わず呟いた。

急遽決まった1週間の強化合宿。
日程は3日後。
周助先輩は今日、入院している親戚のお見舞いに行った。
帰ってくるのは3日後の夕方。

…10日間も周助先輩に会えない。

俺はため息をつきながら合宿の準備を始めた。




「長太郎」

宍戸さんの声に、俺はハッと顔を上げた。

「はい!」
「さっきから何ぼーっとしてんだよ」
「すみません…」
「さっさとしねぇとおいてくぞ!」
「え?待って下さいよ、宍戸さーん!」

大好きな宍戸さんを追い掛けながらも、考えるのは恋人のことばかり。

「周助先輩…」

思わず呟いた名前に、宍戸さんが不思議そうな顔をする。

「周助先輩って…青学の不二か?」
「え…?それは…えっと、あの…!」
「何慌ててんだよ」
「いえ…すみません…!」
「…激ダサだな」



…長太郎が不二と付き合っていることは知っていた。
この合宿中のあいつがどこかぼーっとしてるのも、きっと不二が原因だろう。

一途で不器用な長太郎のことだ。
器用な不二に、いいように遊ばれているに違いない。

「…激ダサ、だな」

俺は、みんなが寝静まるのを待って宿舎を抜け出した。




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