*F×other*
□START POINT OF LOVE
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『長太郎』
あの人が俺を呼んでいる。
俺は必死で走るけど、あの人はどんどん離れて行ってしまって。
『あっとべ〜♪』
弾むような声は菊丸さんだ。
二人は寄り添って、幸せそうにキスをする…。
「夢、か…」
また同じ夢。
あの日以来、何度も何度も見た夢。
時計を見るとまだ1時過ぎ。
ほとんど眠らないうちに悪夢を見たらしい。
…もう嫌だ。
俺は眠るのを諦め、パジャマ代わりのジャージのまま外に出た。
「ん…」
何故だか、急に目が覚めた。
時計を見ると2時少し前。
ふと携帯を見ると、着信があったことを示すランプが光っていた。
着信時間は10分程前。
こんな時間に誰だろう。
まだ寝ぼけたまま携帯を開いて、“鳳長太郎”という名前を見た僕は、一気に覚醒した。
慌てて電話を掛け直す。
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