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□story1 ある酒屋で
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薄暗い店内。
さほど広さもないこぢんまりとした店。
4人用のテーブルが3つほど並べてあり、その1つ1つのテーブルを6人程で使っている。
また、テーブルの間にもところ狭しと椅子が置いてあった。
その全てが老若男女様々な年齢層でうめつくされていた。

奥には、古びたカウンターがあり、その前にも何人かのお客がグラスを片手に隣客と喋りながら飲んでいる。


賑やかな夕べ。
この店では至極当たり前のこと。
酒を飲み、たわいのないことで盛り上がる客たち。
ただ、客全員がなんだかそわそわしているようだ。
何が気になるのか、会話の合間に、店の出入り口にチラチラと目線をいかせている。

そんな落ち着きのない空気が、若いロッカー風の3人組が入ってきたことにより一瞬にして変わった。


湧き上がる歓声。
口笛を吹く者、はやし立てる者など様々だが、みんなこの3人組を心待ちにしていたらしい。


2人の青年のうち1人は焦茶色のストレートの少し長めの髪で、もう1人はそれより少し明るい茶色で癖毛がかっていた。
2人とも顔立ちが整っており、若い女性客からの黄色い声に笑顔で答えていた。
そして、その2人に挟まれている人物。
その人物こそがこの客数の原因だった。

漆黒の短髪に精悍な顔つき。左耳には白く光るピアスと黒く光るピアスがしてあった。

その黒髪の人物は自分にも黄色い声を浴びせられる中、笑顔も見せず、無表情でいた。
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