I'm Liar
□一瞬の出会い
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その頃―――
『へェ〜仕事やったんか』
「なによ、他に何か理由があるとでも?」
×××はさっき出会った一人の男と一緒に、切株に座っていた。
『最初、マジでそういう趣味なのかと……』
「んな趣味あってたまるか!!!」
『ほら、素が出てるよ。外見は美女なのに中身がオッサン……あり得ない』
×××は、声をあらげる男を軽く流す。
二人の会話からもわかる通り、男は今、女装をしている。
仕事のためらしいが、×××は出会った瞬間爆笑してしまった。
時折、素が出るのか、外見にふさわしくない言葉遣いになる。
「んなことより、なんで×××はこんな所で迷ってたんだよ。」
女言葉を使うのに疲れたのか、素で話す男。
『……偽り人に、連れが騙されて、荷物盗られて、それ追い掛けてたら…迷った……』
「ブッ……馬鹿だな、お前」
×××の話を聞いた男は勢いよく噴き出す。
『…笑うんじゃねーよ、この女装野郎』
「だから好きでしてんじゃねーよ!!!」
イー、と睨み合う×××と男だったが、すぐにどちらからともなく笑い出す。
「俺そろそろ行くわ。×××も頑張って仲間捜せよ?(笑」
『うるせーよ。…仕事、頑張りよ』
立ち上がった男につられるように×××も立ち上がる。
そのまま歩き出した男とは反対の方向に、×××は歩き出した。
『じゃあね』
「じゃあな」
二人は振り返らずに、別れの言葉を交わす。
ほんの一瞬だけ交じった縁
その縁は、予期せぬ形となってすぐに互いを会わせることとなる。
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