第0章
□煩悶
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今まで誰ひとりとして?
サレは四星。
四星なんて高い地位になるためには、どれだけ長い期間ここにいたの?
どれだけの任務の数をこなしたの?
どれだけの長い間、どれだけ多くの任務で、いったい何人の命を奪ってきたの…?
苦痛に歪んだ血まみれの盗賊の顔がよみがえって、身体が震える。
あの任務からも、いくつか簡単な任務が請け負っているが、あの時のように人命に関わる依頼は無かった。
迷い猫の探索や街周りの警備、バイラスの退治。
しかし、明日の任務はまた賊退治。
前回は生け捕り。
今回は ―― 生死を問わない。
怖くてたまらないけれど、もう逃げるわけにはいかない。
『恩を返すつもりで任務にあたります。』
自分で言った言葉だ。
歩けもしなかった自分に教養や術技を叩きこんでくれた皆へ、恩を返さなければ。