第0章

□好奇心
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Epsode10. 好奇心

「うーん…なんだかおかしなところに迷いこんじゃったなぁ…」

もはや毎度のこととなった訓練からの逃走も、最近はそろそろ逃げ場もワンパターン化してきてしまい、サレから容易く連れ戻されてしまう。

外に逃げればすぐに人混みに紛れることができるが、人混みに紛れる前に連れ戻されては意味がない。
城の内部はまだ把握できておらず、迷えば厄介なので外にばかり逃げていたが、今日は思い切って城の中を探索しながら逃げていた。

しかし、早速迷ったらしく、見たこともないようなところに来てしまった。

「だから城内で逃げ回るのは嫌だったんだよー…」

最初から逃げなければ良いという話だが、どうも逃げるのが習慣化してしまい、大人しく訓練を受ける気にならない。

階段は何度か昇ったし、少ないながらついている小さい窓から見える風景から、かなり上階まで来たことが伺える。

自分の部屋の周りの廊下よりも静かで、敷いてある絨毯や壁に施されている装飾も違うようだ。

そして、廊下の奥に大きな扉がひとつ。ほんの少しだけ隙間があいている。

明らかに踏み入れてはならない場所に来てしまった気がする。

不安と罪悪感が身体の中をぐるぐると廻り、その奥底では好奇心がむずむずと湧いてくる。

「戻った方がいいかな…でも…ちょっとだけ…」

足音を忍ばせ、扉に忍び寄る。

獅子を連想させる壮大な彫刻が施された、高い天井まで届く大きな扉。

まさか…という思いが頭を過りつつ、扉の隙間に耳をあててみる。

ほんの微かだが、声が聞こえた。


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