第0章

□霧の街
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とうとう王都バルカについた。


街に入ると、まず人の多さに驚いた。

「人がいっぱい…さすが王都」

街に入ってすぐ目に入る大きな噴水も美しく、街の中を走る蒸気機関車も魅力的だった。

霧に隠れてうっすらとしか見えないが、街の奥にある一際高い建物が、目的地のカレギア城だろうか。

目新しいものばかりで、街の人や店、建物をいくら目で追っても追いつかない。


いろんなものに目を奪われる私の様子を、サレは馬鹿にしたような目でニヤニヤと見ていたが、気にしない。

だって、ここには素敵なものがたくさんある。

街に入る前は重苦しい雰囲気と濃い霧にばかり気を取られていたが、想像していた煌びやかな城も、洗練された街並みも、賑やかな人々も、確かにここにはあったのだ。


トーマの背中から街を見渡して感動しているうちに、カレギア城に辿り着いた。


遠くから見た時も大きいと思ったのに、近くで見ると迫力が違う。
アーチ型の石造りの入り口が美しく、この街の霧深さが、より一層厳かな雰囲気を醸し出している。

入口に差し掛かると、門番であろう兵士がわざわざこちらに向き直り、

「ご苦労様です!」

と敬礼し、中に通してくれた。


…もしかしたらこの二人、すごく偉いの人達なのでは。

という考えが脳裏を掠めた。


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