第0章

□道のり
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Epsode2. 道のり





「少しくらい、自分で歩けないのかい?」


私の肩を支えて歩きながら、紫の人がうんざりしたように呟く。


「ご…ごめん、なさい。紫さんも仕事の帰りって言ってたから、疲れてるんです…よね?」


話によると、現在隣をムスッとした顔でドスドス歩いている牛のような風貌の男の人と、現在私を支えて歩いてくれている紫色の男の人は国の兵士として働いている人で、任務の帰りに偶然私を見つけたのだという。

任務の帰りで疲れているところにこんな歩けない娘を拾ってしまったらさぞや厄介だろうと、自分のことながら申し訳なさそうに謝罪を述べると、紫さんの眉がピクリと跳ね上がる。


「紫さんって…もしかして僕のことを言っているのかい?」

「…全体的に紫っぽいので。」

悪びれもせずに言い返すと、紫さんは大きくため息を吐いた。

「仕方がないから名前を教えてあげるよ。僕はサレ。面倒だから呼び捨てでいいよ。面倒だからその変な敬語もいらない。」


「うん。わかった。…面倒だからって二回言ったね。」

「仕方がないじゃないか。面倒なんだから。」


サレは前髪をかきあげながら投げやりに答える。
いちいち仕種がキザッぽい人だ。

それにしても、変な敬語…だっただろうか。
確かに自分でも、敬語と常用語が混ざっていたような気もする。
記憶喪失だからなのか、もともと無知だったのかはわからないが、

このままおかしな言葉遣いを続けるよりは、今は普通に喋ってあとで勉強しなおすのが得策だろうかと、少し考え込む。
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