Vocaloid SSS

□恥ずかしいから
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「どした?リン、なんか用か?」


なるべく穏やかな声色でリンの顔を覗き込みながら尋ねると、リンはまた少しキョロキョロしたあと、潤んだ瞳でまっすぐ俺を見つめる。

「あの、ね、レンくん」

「うん?」

がんばれ、と応援してやりたいくらい、舌ったらずでオドオドした喋り方をする。

こんなリンだから、次の瞬間彼女の口からこんな言葉が出てきた時には、何が起きたのかと大混乱だった。


「ふ、服を、脱いでくれないかなぁっ」


「は?」


思わず大音量で惚けた声を出す俺に、リンは慌てて両手をわたわたと宙で振り回しながら、顔を真っ赤に染めて大きな瞳に涙を溢れさせる。

「あの、ねっ!違うのっ!あのっ!前から、言ってたことなんだけど…リンの服、露出度が高くて恥ずかしいの…っ」

恥ずかしさからか、所々つっかえながらも先程の発言を一生懸命弁解し、自らのセーラー服の裾を引っ張って俯く。

たしかに、公式の"鏡音リン"の服は、腋もヘソも太ももも大胆に露出していて、俺としては非常においしい設定ではあるが、このリンにとっては厳しいものがあるらしい。

マスターに「もう少し露出の少ない服を」と何度も懇願するリンの姿が日々見受けられたが、マスターはリンの恥ずかしがる姿がおもしろいのか、更に露出の高い服を着せて笑い転げたり、露出が少ないという要望には応えたものの、丈の長いメイド服であったりと、リンをからかうばかりで一向にまともな服がもらえずにいた。

そんなマスターに痺れを切らしたのか、今回こうして俺に助けを求めたというわけだ。


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