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□ ■ 紫色の休日 ■ □
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「で、内容は?」
だから私は緊張した面持ちで聞いたのだ。
しかしサレはニヤリと笑ってこう言った。
「僕にラズベリージャムを買ってくるっていう僕からの直々の任務さ」
「……ん?」
てっきり公式の任務だと思ったのに、サレの口が紡いだのは買出し命令。
その紫色の声ははっきりと聞き取れたにも関わらず私は聞こえないふりをした。
「…ラズベリージャム」
「あーっ!私ミリッツァのところに用があるんだった!」
「今日はミリッツァは派遣任務だよ」
「あ、違う、ワルトゥの―――」
「ワルトゥも一緒にね」
「あ、あのね、ト、トーマ…」
「へぇ…君がトーマに何の用があるのか是非お聞かせ願いたいね」
・・・そんなの私だって知りたい。
「トーマを、馬鹿にしに行く約束してたので…」
「……素敵な予定だけど、キャンセルしてもらいな。僕もあとで一緒に謝りに行ってあげるよ」
笑いを堪えてサレの肩がぴくりと震えるのを、私は見逃さなかった。
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