Vocaloid SSS
□じみりん1
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ボサボサと外に跳ねた、伸びっぱなしの髪
長い前髪に暗く隠れた顔
膝よりも長い制服のスカート
おどおどと挙動不審な仕種
クラスに一人は居る、典型的な地味な女子。
休み時間は本を読んで過ごす、暗い奴の手本みたいな子。
そんな彼女の休み時間は、チャラチャラした男子に無遠慮に中断される。
本は取り上げられて遠くに投げられ、頭を小突かれたり机をガンガン叩かれたり。
ただ俯き、何もせずにただ休み時間が終わるのを待つ女の子。
休み時間の終わりを告げるチャイムと共に散っていく男子の様子を伺いつつ席を立ち、投げ捨てられた本を拾い上げ、胸に抱いて再び席につく。
鏡音リンは、そんな女の子だった。
そんな特殊な存在と初めて接触したのは、体育の授業時間。
鈍い音と共に、視界が反転する。
体育の授業で張り切りすぎたんだろう。
バク転の着地に失敗して、派手に足を捻ってそのまま倒れ込んだらしい。
かっこわりー…なんてぼんやり呟きながら、容赦無く痛む足首に目を向ける。
今のところ何ともなっていないようだが、きっと少し時間が経てば腫れてくるだろう。
周りに集まって来るクラスメートを適当にごまかしながら立ち上がる。
正直かなり痛い。
歩くのが精一杯だ。
しかし誰の手を借りるのも面倒で、保健室に行くことだけを伝えてさっさとその場から消える。
もちろん、なるべく普通に見えるように歩いて。
人目につかない場所まで歩くと、荒い息を吐きながらその場に座り込む。
ズキズキと痛む足を撫でながら、少し休憩とばかりに壁にもたれた。
大きな溜息を吐いて膝に顔を埋めていると、視界に細い脚が写る。
真っ白な上履きから視線を上げると
そこには鏡音リンが立っていた。
これが、ファーストコンタクト
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