ギャグマンガ日和

□plastic smile
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「失礼します」


「遅いぞ、妹子。遅刻するなとあれほど言ったであろうが。全く、最近のお前はどうかしてるぞ」


「(うわぁ・・もう既に怒ってるよ・・)
それで、あの・・僕に頼みたいコトって何ですか?」


「太子の護衛をして欲しいんだ」


・・へ?


護衛?


僕が?


そりゃー体力なら少しは自信あるけど・・でも護衛なんて・・・他にもっと良い人が居るんじゃないのか?・・


「あの〜・・お言葉ですが、護衛なら僕よりふさわしい人が・・・」


すると彼はきっぱりとした口調でこう言った。


「お前じゃないとダメなんだ」


返事に困って僕は、少し黙っていた。
馬子殿はそんな僕を見て少しため息をつき、また喋り始めた。


「この前、ある役人に太子の護衛を授けたら、そいつがまたとんでもない奴でな。―太子を殺そうとしたんだ」


「・・・!」


「それからあれこれ考えたんだがな、やっぱり安心出来る人に・・たとえ弱くても奴を殺そうとする人間よりマシだろうと考えてな」


知らなかった、そんなコトがあったなんて。
どうして彼は教えてくれなかったのだろう。
やっぱり僕はただの邪魔者で―


「最も、お前を護衛にと言ったのは私じゃない。あの太子からだがな」


「!」


「『どうしても妹子が良い、あんな怖い想いはしたくない』―と・・妹子?」


さっきまでの不安と、“僕を必要としてくれる”二つの溢れる想いが、雫に変わって僕の頬を濡らした。


「・・・っ!」


絶対、嫌われてると思ってた。
絶対、僕なんて信用してくれてないと思ってた。
だけどそれは―全部勘違いで。


「話は・・それだけですか?」


涙声でクシャクシャになりながら、それでも必死に声を絞りだして尋ねた。


「あぁ・・何で泣いてるのかは知らんが、これだけは言っておくぞ―あんな臭いオッサンでも倭国の大事な王、しっかりと護衛は任せたぞ」


「はい!」


そう言って僕は一目散に部屋を飛び出した。


涙でグシャグシャになりながら、風を切って、まっすぐ彼の家へと向かった。


何でこんなに嬉しいのかは分からないけど、でも凄く幸せな気分だった。


だって太子は―僕を必要としてくれていたのだから。


僕の恋は、プラスチックみたいな脆い恋。
何処で壊れてしまうか分からない。
それでもいい。


偶然?奇跡?それはよく分からない。
全ては神様がお決めになった事だ。
勿論、貴方との出会いも―


plastic smile
少しせつない

plastic smile
とても儚い

but,solid love
早くこの想いに気付いて...



fin.
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