ギャグマンガ日和
□夕闇
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窓から見えるそれを間近で見たくなって。僕は家を飛び出した。
「うわ〜・・綺麗な夕焼け」
オレンジに輝くそれは、この世のものとは思えないほど綺麗で、美しくて。
優しくて、明るい橙色。
誰かに似てる気がしたけど、それをつぶやいたりはしなかった。
恐れ多くも、あの聖徳太子に好意を抱くなんて。
そりゃああのオッサンは一見汚いノーパンだけど・・・でもやっぱり、聖徳太子と言えば倭国で一番偉い人だから。
じゃあこの想いはどうすれば良い?
夕闇の空の下、僕はずっと彼を想って泣いた。
本当は素直になりたいのに、素直になれない僕。
本当は彼を愛しているのに、言葉に出来ない不器用な自分。
どちらも悲しくなって、下を俯いて地面を蹴った。
「妹子」
声がしてハッと顔を上げる僕。
顔を上げると、そこには太子の変わらぬ笑顔があった。
「どうして泣いてるんだ?こんなに美しい夕陽なのに・・もしかして私の所為か?
私が仕事をしなかったから・・・」
そうですよ、そう言って僕は彼の肩をきつく抱き締めた。もう二度と離れる事が無い様に―
「妹子っ//」
「僕は、太子の事が・・・ッ」
何で言葉に出来ない
たった一言『好き』っていう気持ちを
何で素直になれない
たった一言『離れたくない』そうすれば伝わるのに
消えない想いは、再び夕闇の空に沈んでいった。