ギャグマンガ日和
□閉じた光
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ずっと諦めてた、自分が幸せになる事なんて。
ずっと諦めてた、誰かに愛を貰うコトなんて。
「曽良君、食べる?」
そう言って貴方が差し出したのは一本の団子。三色のそれを、僕は無造作に受け取る。
「どう?美味しい?」
「・・・」
「何か言ってよ〜」
「芭蕉さん」
「んっ?」
「また白髪増えましたね」
「ガーンΣ私また老けちゃった?!」
「あとちょっとで死ぬんじゃないですか」
「また君は平気で恐ろしいコトを・・・平成のヤングと呼ばれるこの私が死だなんて・・・」
ほんの一瞬、貴方が悲しそうな顔をしたのが見えた。気付いたけれど、口には出さなかった。余計なコトまで言ってしまいそうな自分が怖くて―
「私はまだまだ死なないもんねっ!
曽良君より長生きしてやる!」
それは無理ですよ、そう言おうとして言葉に詰まった。“そんなの嫌だ”考えるだけで体が震える。
―僕と貴方。
先に死ぬのは僕が結核にでもかからない限り、貴方の方が先に逝ってしまう。
この気持ちに気付いた時から、『一生離れたくなんかない』ずっとそう思っていた。
だから―、
(貴方が先に逝ってしまうなんて)
(貴方と会えなくなる日が来るなんて)
「曽良君どうしたの?そんなボーッとして・・・もしかして私が先に死んだらとか考えてるの?」
―あぁ何でこの人は、僕が思ってるコトに気付いてしいまうんだろう―これじゃあまるで、、、
「大丈夫だよ。私は死んでも、ずっと曽良君の傍に居るからね」
「いや、キモイんでさっさと成仏して下さい」
“僕なんてほっといてくれても良いですから”
想いとは裏腹に出る貴方への言葉。
どうして僕は正直になれないのだろう?
『ずっと一緒に居て欲しい』たった一言が
どうしてなんで
たった一言が掌から毀れ落ちて
また俯いて歩くんだ
―さっきの貴方の言葉が、頭から離れない。
“私は死んでも曽良君の傍に居るよ”
嫌になるほど綺麗な星空の下
貴方への永遠の愛と祈りを誓う。