ギャグマンガ日和
□ハジメテ
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「大王!起きて下さいってば!いつまで寝てるんですか!」
呆れたように大声で寝ている上司を叩き起す、まぁいつもの光景だ。
―にしても好い加減、この人もちゃんと仕事すら出来ないものだろうか・・最近の僕の深刻な悩みである。
そりゃ、疲れてるのは分かりますけど―
僕にばっか押し付けないで自分で働けこのイカ!!!
などと幾ら叫んでも起きそうに無かったので、諦めて部屋を出ようとしたその瞬間、
後ろから腕を掴まれた。
「!?」
「鬼男君・・ムニャムニャ」
今度こそ本気で腹が立ち、弁慶の泣き所を蹴ってやろうかとも考えたが、その可愛らしい寝顔を見た瞬間―いや、可愛いなんて//そういう意味じゃなくてっ;えーと・・・(混乱中)
ふいに掴まれたその右腕は、人間とは違った薄紫色をしていた。
(あぁ、そうか。)
僕と貴方が違う、と感じてしまう瞬間。
僕は人間、貴方は閻魔。
地獄に仕える、悪魔なのだと。
彼は決して悪魔なんかじゃないと僕は思う。
そりゃ仕事しなかったり、いつも部下に仕事押し付けたり、嫌な所はたくさんあるけど・・・だけど彼は、人を見た目で判断したりしない。そういう優しい人だ。
「いつかは・・・、」
考えちゃいけないといつも思っているけれど、やっぱり考えてしまう。
いつかは、彼は何処かへ行ってしまう、という事を―
神様は残酷だ、呆れる程に。
僕が人間であるばっかりに。
初めて触れた、その右手はとても冷たい。
まるで、僕らの未来を案じるかのように。
初めて触れた、その頬はとても美しい。
僕は、貴方を愛している・・ずっと。