drrr!
□気付いているでしょう?
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気付けば俺は、知らない監獄の中に居た。
手足は紐でくくりつけられ、自由に動かせなかった。
何処だ、ここは?
何故俺は、ここにいる?
混乱の中、必死に過去の記憶の断片を辿っていく。
「やっと起きたね、正臣」
天井から聞き覚えのある声がした。
二度と聞きたくないと思っていた、悪魔の声が。
その顔をにらみつけ、俺は叫んだ。
「テメー、どういうつもりだ?」
俺に恨みでもあんのか。
人の身体の自由勝手に奪いやがって。
早くこの縄をはずせ、そう言い切ると、彼はため息をつきこう言った。
「ヤダなぁ、別に君を殺そうとなんか思ってないよ?」
じゃあ一体―この縄は何の為に―
その問いかけが聞こえたのか、彼はさも悲しそうな声でこう言った。
「実は今、とても悲しい情報が入ってきてねぇ。君の彼女いるだろう?沙希っていう子。その子がさっき、僕の仲間に捕まったっていうんだ」
は?沙希が?こいつは冗談を言っているのか?
いや、目がマジだ。だとしたら沙希は―
「沙希は何処にいるんだ?」
こうしちゃいれない。こいつとの茶番に付き合ってる暇はない。この縄をさっさと振りほどいて、沙希の下に駆けつけねば―