drrr!
□Tknow
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わかっている、自分がもう既に人間でないことくらい。新羅は私のことを「妖精」などと呼ぶが、所詮ただの首なし人間の化け物であると。
彼が私の腰に触れるとき。
目線の先に映るはずの愛しい顔はない。
彼がそっと頬を撫でるとき、
その撫でるべき場所が見つからない。
いつからか、そのことに凄く罪悪感を感じるようになっていった。
彼は首のない女を抱き、何を想うのだろう。
触れるはずのない唇を思い、何を感じているのだろう。
「セルティ、紅茶入れたよ。一緒に飲まない?」
向こうから聞こえてくる愛しい人の声。
けれど、素直には振り向けずに。
わざと聞こえないふりをした。
子供じゃあるまいし、そう言い聞かせても、重い腰はなかなか立ち上がらなかった。