ギャグマンガ日和

□傘
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こんな雨の日に、傘も差さない貴方は、、


何処か寂しげで愛おしい。


雫に濡れたその美しい黒髪―儚げな目。


全てが僕の理性を壊そうとする。


抱きしめたい、そして貴方の温もりを感じていたい。


その唇に触れたい。雫で濡れている、その頬に触れてどんな色に染まるかを見ていたい。


人は悲しい時、雨に打たれると言うが、
閻魔―彼は違うと思う。


悲しいから雨に打たれるのではなく、嬉しいから雨に打たれているのだ。
彼が雫を好む理由は、一体何なのだろう―


「あ、鬼男君」


やっと僕の存在に気付いたようだ。
僕は雨に濡れないように、傘を持って彼の方へと向かう。


「何やってんですか、大王」


「あ、鬼男君!いいいつからそこに!?」


「さっきからずっと居ましたよ」


「ギャー見られた!雨に打たれて笑ってる所見られちゃったー!Σ」


「隠すならもっと隠れた場所でやって下さいよ・・ほら、いつ間でもそんな所に居たら風邪引きますよ」


「あ・・うん。
その・・嫌いになった?」


「え?」


「私のこと。雨に打たれながら笑ってるのなんて、私だけだと思うし」


つくづく、馬鹿な人だ・・
貴方を嫌いになる訳がない。
そう言って、彼の肩を抱きしめるコトが出来たら、どんなに幸せだろう。


きっと彼が笑って雨に打たれるのには訳があるんだろう。
僕は彼を嘲笑する訳でもなく、変な目で見るでもなく、そんな貴方が愛おしくて―なんて言えない言葉を心の中で呟いてみる。


「別にそれくらいじゃ引かないですよ。
でも風邪引かれたら困るんで、ちゃんと傘持って外に出て下さいね」


「あぁ」


「それに、大王が笑う理由・・少しは想像できますよ。思い出してたんでしょう、人間だった頃を」


僕と出会う前。
彼が人間だった頃。
僕は人間だった頃の彼を知らないけれど、あまり幸せな暮らしではなかったそうだ。


家は貧乏で、父親は無実の罪で捕まり死刑。
母親は知らない男と家を出てしまい、ずっと一人で生きてきたそうだ。


そんな彼にとって僕は―
また始まった、僕の自意識過剰。
そんな訳ない。
大王が僕の事を――なんて。


「さすが鬼男君、叶わないねぇ」


「アンタの考えてるコトは百発百中分かりますよ。辛かった記憶なのに、どうして・・」


「辛かったからこそだよ」


「?」


「辛かったからこそ、今笑えるんだ。
ココに来れて良かったなぁって。鬼男君に会えて、私は凄く幸せ」


「//・・・」


「雨は悲しみの象徴って言うけど、僕はそうは思わない。これは嬉し涙だよ。神様がくれた光る雫」


大王らしい発想だなと僕は思った。
天国と地獄の境目を決められる神様だからこそ、言える言葉だ。


「さぁ、そろそろ戻りましょう」


そう言って僕は、傘を彼に差し出す。


一つの傘に、二人の姿が重なった。


「相合傘だーw」


「///ちょっ、あまり寄って来ないで下さい!」


「えー、良いじゃん。寒いーー」


そう言って無邪気に僕の肩に抱きつく彼。
あぁ、いつもなら五本の刃で彼を突き刺すのに・・・



「今日だけ・・特別ですよ」


なんて、本当は貴方に甘えたい癖に。


「たまった書類、ちゃんとやって下さいよ。やらないとコレ(五本の爪wですからね」


素直になれない、不器用な僕。


rain,Why is it?

sadly,or glad?

Tdon't know.

Are you happy or unhappy?

Tcan't know.


訳)雨は何故降るの?


悲しいから?それとも嬉しいから?


私には分からない。


貴方は幸せですか、それとも不幸ですか?


私が知る事はない。
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