ギャグマンガ日和

□Why?
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−彼が遠くへ行ってしまったあの日から何日たったコトだろう。止まない悲しみの雨。誰かのぬくもりなんて、もう感じられない程に・・・


彼はこんな自分を愛してくれた。
最初は[友情]だと思っていた心に恋が芽生えていた。


悲しいかな、それに気付いたのは彼が亡くなってしまった後。僕は死に目にも遭えなかった。無論、彼の最期の言葉も知らない。


ある日、竹中さんが家に尋ねて来てこう言った。



「妹子殿、貴方にどうしても伝えたいコトがある」


「?何ですか?」


「教えておこうと思ってな−太子がどんな死に方をして、最後に願ったコトを」


−どんな死に方をして?
ただの病死じゃないのか?・・


「妹子殿も知ってると思うが、最近朝廷での争いが頻繁に起きるようになってな・・太子もそれに巻き込まれたんだ」


「!」


そんな事、誰も−


「知らなかったのは当然だ。もしこの事が妹子殿に伝われば怒りが朝廷に向かうのを彼らは恐れたからだ。誰よりも太子を大切にしていた人間に、こんな惨い話をするべきでないという者もいた」


どおりで・・葬式での周りの態度がおかしかった事に気付いた。どこかよそよそしく、何かを隠している目―あれは、この事だったのか・・・



「太子は最期にこう言ったんだ。[争いは争いを生む。これ以上、誰かの命が奪われないようにこの国を守ってくれ]って」



―自分が死にそうな時に―
彼は自分の事より、この国の事を・・・
どうして誰かの命の心配まで・・・
何で・・・僕を残して逝ってしまったんだ・・・


『ずっと一緒に居てやるよ』ってお得意のナルシ顔でそう言ってたじゃないか・・・なのに何でだよ・・どうして約束を破ったんだ!?


・・あの笑顔を奪ったのは誰だ?


朝廷の奴らだ。あいつらが、無駄な争いなんてしなければ―


いつの間にか僕は、手に銃を抱えていた。
自然とその場所へ向かう足。
これから自分がしようと思っていることを、想像して背筋が凍る思いがした。



皆、殺すんだ。僕の手で。
あの笑顔を奪った人間を、僕は許さない。
蘇我馬子殿や調子丸だってそうだ。
朝廷で争いが起きているのに見て知らぬふりをしたのだから―



「やめて下さい妹子殿!」


不意に聞えた竹中さんの叫び声。


だけど、僕の返事は決まっていた。


「復讐は悪いコトですか?
大切なモノを奪われて、貴方は平気なんですか?」


パシッ!容赦ない平手打ちが、僕の頬に飛んだ。この世にもないような表情で、彼は泣き叫んだ。


「平気な訳ないだろう!私も妹子殿と同じ気持ちだ!大切な友人を亡くしたんだ!悲しいのはお前だけじゃない!!」


―あぁ、なんて僕は―愚かで馬鹿な人間だろう。そして浅はやかだ。竹中さんが平気でないのも、こんなコトを太子が望んでないのも知っていたはずなのに―


「竹中さん・・・」


「いいか、妹子殿。この国を守るのはお前しかいない、と太子は言っていたぞ。つまり、彼は妹子殿の事を―信頼しているんだ。だから、復讐なんて馬鹿なコトを考えるな。この国の争いがどうやったら無くなるかを考えるんだ」


叩かれた痛みなのか、それとも自分の愚かさに気付いた涙なのか、分からない雫がぽたぽたと毀れ落ちた。


さっきまで自分がやろうとしていた事―それは、彼が一番望んでいない事だった。竹中さんがいなければ、大切な人をまた失っていた所だった―


「ありがとう、竹中さん」


涙目になりながらも、笑顔で僕は言う。


「あぁどういたしまして。
叩かれた所、大丈夫か?」


こんな時まで竹中さんは僕の事を心配してくれている。ぶたれて当然なのに・・・


「大丈夫です」


「そうか、それは良かった。かも冠位五位の上級の人間に、魚もどきが手を出すのは如何なものか、少し迷ったのだがな。妹子殿にはこれ以上、何かを失って欲しくなかったから」



―T'm happy to see you.


貴方に会えて、僕は幸せでした。


優しい友人もできました。


『平和』がどんなに大切かって、その命をもって想い知る事が出来ました。


今まで何となく見てきた風景―それらが全て、美しい物だと気づく事が出来ました。


僕は幸せ者です。


そんな貴方の元で働けて。


今貴方はココに居ないけど、でも―



いつかまた、きっと会える。


気の良い貴方の事だから、きっと天国へ旅立たれた事でしょう。


待ってて下さい。僕がそこへ行く日まで。
蝶々追っかけてどっか行ったりしないで下さいね。


僕はその場所で、真っ先にアンタを見つけてみせます。


絶対に、待ってて下さいね。
これは約束ですよ。



T'm hpoe to be peace this country because you told me so.


Tf this country is peace and Tdie someday,please you meet me.


This love is forever.


forever,Tlove you,taiahi.


訳)私はこの国の平和を望んでいる、何故なら貴方がそう教えてくれたから。


もしこの国が平和になって、私がいつの日か天国へと旅立ったら、私に会いに来て下さい。


この愛は永遠です。


永遠に貴方を愛しています、太子。
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