ギャグマンガ日和

□plastic smile
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この気持ちに気付いたのは、最近の事ではない。


初めて貴方と出会った時から―覚えた不思議なトキメキ。甘く、とろけそうな柔らかな風、そのぬくもり―


貴方と出会った日の事を、昨日のように覚えてる。―何故だろう?


何も知らない無知な僕。
最も、勉才だけは周りから出来ると言われていたけど。


この感情に答えを出すのに、そう時間はかからなかった。


「それは恋ってヤツだよ。・・たぶん」


彼が教えてくれた。
彼っていうのは、いつも後頭部がしめっている(だけど雨の日はカラカラ)のフィッシュ竹中さん。


彼は大人だ。
僕よりいろんなコトを知ってる。
上手な恋愛の仕方や、どうしたら相手を傷つけずに済むのかも、全部知っている。


そんな彼が少し嬉しくて、
―少し妬ましくもあった。


だって彼は太子と一緒に住んでる。
何をするのも一緒だ。
ご飯食べるのも、寝るのも遊ぶのも。
この前僕が太子の家に遊びに行った時なんて、「今妹子より竹中さんと遊びたい気分なんだ」と言ってあっさり振られてしまった。


あぁ、なんて僕は不器用で―ダサいんだろう。
その時はただ、己の小ささを思い知った。
妹子より竹中さんか、と。


でもその感情を、決して『嫉妬』などという醜い言葉に置き換えたくはなかった。
だって僕がそんな汚い感情を持っている人間と知ったら、太子はどれだけ僕に幻滅するだろうか―そんな想いがあったから。


でももう我慢なんてしてらんない。


知りたい、聞きたい、二人の関係。


ただの友達?それとも―


もし恋人だったらどうしよう。


僕なんて邪魔だと思われてたらどうしよう。


変な不安が胸をよぎって、細菌仕事も手につかない。


そんな折、僕は蘇我馬子殿に呼び出された。


きっと最近の僕についてあれこれ言われるんだろうと思うと、とても気が重くなった。


沈んだ気持ちを抱えて、僕は呼び出された部屋へと向かう。
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