ギャグマンガ日和
□夕闇
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アンタに会うまで、僕は人間不信だった。
周りは自分の地位と金しか守らない欲張りな豪族だったし、親でさえも僕のコトより世間体を気にしていた。
―僕がテストで0点を取ってイジメられた時も、誰も庇ってはくれなかった。
『豪族の子供なんだから』
賢くて当然。勉強も出来て当然。
恋愛やお遊び事なんて二の次。
そんな風に育ってきた僕にとって、仕事を放り出して遊びに行く、ましてやそれが摂政だなんて信じられなかった。
「ちょっと太子!少しは仕事して下さいよ!」
目の前に積まれている大量の書類の山。
それを見向きもしないアホ摂政。
「ハイキング行きたい!」
―あぁ、また急に何を言い出すんだこのアホ摂政は―
「ピザ焼いてさ!行こうよ妹子!!」
「そんな下らない事考えてる暇があったら仕事して下さい」
「妹子のケチ!」
「何と言われようとも僕は動じませんよ」
「妹子って仕事仕事でまるで機械人間みたいだな」
「機械人間で結構」
そう言って黙々と仕事をこなしていく僕。
「ねー行こうよ〜」
「行きませんてば」
「ふんっ、じゃあ良いもん。
妹子には頼まないよーだ、竹中さんと行こ」
「どうぞご勝手に」
僕がそう言うと、本当にあのアホ摂政は何処かに行ってしまった。
(ま、いいか。この方が落ち着いて仕事出来るし・・・)
やがて山ずみの書類が少なくなってきた頃、
外はもう夕暮れである事に気付いた。