ギャグマンガ日和
□believe.
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何もないんだ だってココには
憎しみと悲しみの世界しかない
−そう思ってたんだ
「どうして他人の子の世話をアタシがする訳?アンタこそ金あるんだから養いなさいよ」
「何言ってるのよ、こっちだってギリギリの生活なんだから・・本当、迷惑な子だわ。
姉さんは一体何を考えてこの子を産んだのかしら。よっぽど、私達を怨んでたのね」
「あのコは昔っからそうなのよ。
飽きっぽくてそのクセ我儘な性格。
それならこの子を捨てた理由も納得できるわ」
「姉さん・・子供の前でそんな・・・」
「良いのよ。こういうコトははっきり言わなくちゃ。アンタも薄々気づいてるでしょう?自分が捨て子だって」
何を言われても。僕はずっと黙っていた。
その小さな拳を握りしめながら、何も出来ない無力な自分に腹が立った。
逃げ出す事も出来ない、息をする事さえ困難なこの狭い世界にもう何年もいる。
その時は、“捨て子”の意味が分からなかった。僕には父親も母親も居なくて―だから、何処ともなく『悲しいもの』なんだって事には気づいてた。
「やーい捨て子!す・て・ご!」
―やがて周りからそう言われるようになった。来る日も、来る日も。伯母さんも、そんな兄弟を止めようとはしなかった。薄ら笑いを浮かべて、必死に堪えてる僕を面白そうに見つめていた。