ギャグマンガ日和

□箒星
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「曽良君、見て見て!」


「何ですか急に・・・三途の河でも見えましたか?」


「Σ恐ろしいコト言わないで;;
違うよ!ホラ、すごくキレイな星空!」


そう言われふと顔を上げると、そこには夜空いっぱいにきらめく星があった。


美しく光るそれはとても儚げで、
何だか貴方のように思えた―


「こんなにキレイな夜空を見たのは久しぶりだよ!あぁ、私はなんて幸せ者なんだろう♪」


しばらくして、一筋の光が夜空を眩く照らした。それは一瞬のうちに消え、儚くもとてもきらめいていた。



「箒星・・ですかね」


「うん!流れ星とも言うのかな?
何をお願いしよっかな〜・・」


「流れ星如きでそんなにハシャぐのは子供とアンタぐらいですよ」


そう言いながら僕は、ずっと祈る言葉を考えていた。


“ずっとアンタと旅が続けれますように”


ダメだ、これじゃあ貴方への想いは一生叶わない。ならば


“アンタが僕の気持ちに気付いてくれますように”


・・・これも何か違う。
要するに、僕が言いたいのは―、


「曽良君は何をお願いするの?」


「内緒です」


「え〜教えてよ〜〜」


「絶対に嫌です」


「曽良君のドケチ。
私の願いはただ一つ!鬼弟子の恐怖から解放されるこ・・(ゴフッ)」


「誰が鬼弟子ですか、ブチのめしますよ」


「もう十分ブチのめされてる気がするんだけど・・・違うよ、私の願いはただ一つ―」


次の瞬間、再びあの眩い光が夜空に流れた。


僕も貴方も、黙ってそれを見つめていた。


たった一秒の事なのに、まるで何分も時が経ったように思えた―


「曽良君、大丈夫?」


そう言われてやっと我に返った僕は、
またいつも通り彼を置いて前を歩く。


「ずっと固まってたけど、何をそんなにお願いしたの?あっ、まさか私の事を?!
松尾感激!!」


「んな訳ないでしょう。
芭蕉さんが早く死ねるように祈っていた所です」


「松尾ばショック!」



―本当は何をお願いしたかなんて、まさか言える訳がない。


だけどこんなに不器用でヘタレな自分が酷く恥ずかしい。


『ずっとアンタと居れますように』


僕がそう願った事を、貴方は一生知る由もない。



“Tcan't live without you..”

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