銀魂

□涙雨
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だって、そうだろ?

アイツを引き止める術が無かった。

「紹介するネ。これが、私のパピィ。」

…勝てるワケが無い。

それは、『戦う』んじゃなくて、『闘う』事。

神楽が、俺と父親…

どちらを愛してるかなんて―――明白だったから。

アイツはずっと、自分の父親に会いたがっていた。

「私のパピィは…。」っていつも話してた。

楽しそうな親子を見る度、寂しそうな表情(カオ)してた。

冗談で、聞いてみた事がある。

「俺が父親の代わりになれねェの?」って。

そしたら、首を横に、小さく振っていた。

『代わりには、なれない』と。

分ぁってた筈なのに、傷ついてる自分が居た。

お前は、俺より父親のコトが―

だから、俺なんか傍にいなくても―

そう思って、泣き叫ぶお前の声に耳をふさぎ、手を振った。

何時の間にやら、頬を伝っていく冷雫。

「銀さん!」

新八の声がした。

「雨降ってますよ!あ〜ぁ、服びちゃびちゃ。

きっと、今頃神楽ちゃんも…。」

「アイツ、日傘持ってんだろ?」

「でも、雷鳴ってますよ。怖がってるかもしれませんし。」

「親父が居んだろ。俺ァ、そんなの知らずに育ったけどな…

アイツは…神楽は…ガキは、親父が一番好きなんだよ。」

言いながら、声が震えているのが分かる。

もう一度、会いたい。

もう一度、触れたい。

―だけど、神楽は俺のコトを―

雨よ、どうか早く止んで欲しい。
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