廃児's OtherNovel
□光を失いし星達への鎮魂歌
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――――俺は忘れない あの日を 何があろうと――――
護廷十三番隊九番隊副隊長・檜佐木修兵は花を片手に流魂街へ向かって行く途中だった。
「檜佐木さん、流魂街のヒトとデートっすか?」
こうやって茶化してきたのは六番隊副隊長の阿散井恋次だ。
「仏花持ってデートに行く奴が何処にいるんだよ。墓参りだよ、墓参り」
檜佐木は苦笑いをしながら答える。
「お前も来るか?今日が何の日か覚えているかどうかは別としてな」
阿散井には分かってないのだろう、顔が困惑の色を浮かべている。
「何の日、でしたっけ?」
「やっぱ覚えてねぇか。まっ、それも当然だな。何十年も前になるからな」
まだ思い出せそうにない阿散井をみて檜佐木が、
「何十年前の今日、俺とお前らは初めて会ったんだろうが」
「あ・・・」
阿散井もやっと分かったらしい。
「蟹沢先輩と、青鹿先輩の墓参りっすか」
「ああ、今日はあいつらの命日だ」
墓の前につき、檜佐木が花を添えている時、阿散井は後ろに黙って立っていた。
「悪かったな・・・」
檜佐木が誰に何を謝っているのか分からなかった阿散井は微かに顔をあげた。
「お前らの墓に最初に来た時、俺はお前らに敵は藍染隊長がとってくれたと嘘を言っちまって、本当に悪かった」
藍染は色々と虚を改良していた。その中には気配を消す虚もあったのだ。
「俺がお前らの敵を取ることは出来ねぇけど、藍染隊長はいつか必ず倒すからな・・・」
少し、風が強くなってきた。
「よし!飲みに行くぞ!!」
墓参りを終えて、檜佐木が開口一番にしたのがこれだ。
「え!?いきなり飲みに行くってそりゃあないっすよね?」
阿散井も少し呆れ気味だ。
「何言ってんだ?あいつらも一緒なんだ、飲みに行くしかないだろ」
「はぁ?」
訳の分からない阿散井には、
―――― 一瞬、蟹沢と青鹿が檜佐木の両隣にいるのを見た――――