SS置き場(版権物)

□百々太郎
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 ある世界(サーバー)の伐木町ブレンティルという伐採によって生計を立てている町に、剣士とランサーの夫婦が住んでいました。
 剣士は伐木場に経験値稼ぎを兼ねた芝刈りに、ランサーはクェレスプリング湖に経験値稼ぎを兼ねた洗濯に行きました。
 ランサーが湖に向かって歩いていますと、川の上流から大きな桃が流れてきます。
「ラッキー♪ あれを今日のデザートにしましょう」
 彼女は自身の得物である槍を使って、器用に岸まで引き寄せ、桃を手に入れました。
 しかし……――
「……これ、宝箱……?」
 そう、それは桃ではなく、桃の形をした宝箱でした。
 調べてみた所、罠はかかってないようでしたが、鍵はかかっていました。
 彼女のLvでは壊せないようです。
 そして宝箱用の鍵も持っていなかったランサーは、その箱を持ち帰ることにしました。
 自分では無理でも、夫である剣士になら壊せる鍵だったからです。
 家に帰ってしばらくすると剣士が帰ってきました。
「ただいま〜…って、どうしたんだ? その桃……」
「お帰りなさい。この桃は拾ったの。宝箱なんだけど、錠が壊せなくて。
 剣士は頷くと、ランサーに下がっているよう、手振りで示しました。
 彼女が十分下がったのを確認すると、剣士は剣を抜き放ちます。
「――はぁっ!!」
 一閃。
 銀光が錠を跳ね飛ばします。
 鍵の壊れた桃型宝箱は、ゆっくりと左右に分かれました。
 そして中身が明らかになります。

「………………」
「……………………これって……」

 夫婦は、顔を見合わせます。
 無理もありません。

 宝箱の中身は、1人の赤ん坊でした。
 錠と一緒に中身も壊れたらと思うとちょっと震えが来ます。

 夫婦は赤ん坊の身元を調べましたが、結局何も見つからず、その子を育てることになりました。
 男の子であったその赤ん坊は百々太郎(ももたろう)と名付けられ、多少…否、職業としてシーフを選んでしまったためにかなり手癖が悪くなりはしましたが、スクスクと育ちました。
 そんなある日、百々太郎は町の人からある噂を聞きます。
 曰く……

 オーガの洞窟に住んでいるオーガは、財宝を溜め込んでいるらしい。
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