SS置き場(版権物)

□黄ずきん
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 ある世界(サーバー)に、黄ずきんと呼ばれるビーストテイマーの少女がランサーである母親と共に慎ましやかに暮らしていました。
 黄ずきんが暇を持て余して露店放置していると、母親が彼女を呼びました。
「黄ずきん、実はコボルトの森の小さな小屋にいる、"病気のコボルト"にお見舞いの品を持っていってあげてほしいの」
 母親から直々のクエストの依頼です。
「ちゃんと達成できたら、あなたが欲しがっていた[HP Lv6]のクロスイヤリングをあげるわ」
 黄ずきんは速攻でそのクエストを受けました。
 打たれ弱いテイマーにはHP向上アイテムは輝いて見えるものです。

 次のクエストが追加されました。
 "病気のコボルトへの見舞い"
 ケーキを手に入れました。
 ワインを手に入れました。

 どうやらケーキとワインはクエストアイテムのようです。
 これを病気のコボルトに渡せばこのクエストはクリアできます。
 黄ずきんは装備を確かめると、さっそく出かけることにしました。
「お母さん行ってきます」
「いってらっしゃい。森には狼になってしまったウィザードが出没するらしいから気をつけるのよ」
「は〜い」
 元気良く返事をして、黄ずきんは広大なMAPに出ます。
 彼女は生粋テイマーなので、サマナーにスキルポイントを振っていません。
 なのでXキーでジョブチェンジすることも、召還獣である炎の犬"ケルビー"を召喚してその背に乗り、颯爽と道を駆けることも出来ないので、地道に走っていきます。
 内股気味の乙女走りは賛否両論なのですが、彼女は気にしません。
 やがて、コボルトの森が見えてきました。
「もしもし、そこの黄色いフード付きマントを着込んだお嬢さん」
 声をかけられ、黄ずきんは立ち止まりました。
「そんなに急いでどこに行くのです?」
 現れたのは1匹のウルフマン…ウィザードの対ジョブである狼男です。
「これからこの先の森にある小さな小屋まで病気のコボルトのお見舞いに行くの」
 黄ずきんは正直に答えました。
 母親の忠告は無駄に終わったようです。
「お見舞いに…。それなら森の東側にある花畑で花を摘んでいってあげると良いでしょう。きっと喜ばれますよ」
「ありがとう、狼さん。そうするわ」

 次のクエストがアップロードされました。
 "病気のコボルトへの見舞い"
 必要アイテム… ケーキ 1/1 ワイン 1/1 花 0/10

 クエストが次の段階に進んだようです。
 必要アイテムが増えました。
 ケーキとワインは必要個数を満たしているので、さらに段階を重ねるには花を10輪集める必要がありそうです。
 黄ずきんはウルフマンに別れを告げると、教えられた花畑に向かいました。
 花畑には色とりどりの花が咲き乱れています。
 しかし、困ったことが起こりました。
 背景である花畑の花は摘むことが出来ない為、アイテムの収集が出来ないのです。
 黄ずきんは考えた結果、花畑を徘徊するモンスターを狩ることにしました。
 アイテムドロップを期待する方向です。
 それは旨くいき、それほど時間をかけることなく花を集め、クエストをアップロードさせました。
 これで次のステップに進めます。
 黄ずきんは森の小屋に向かいました。
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