SS置き場(版権物)

□永遠の混沌 祝福の大地
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 暗い暗い果てしない海。
 広い広い果てのない海。
 全ての混沌を抱え込む、宇宙という名の海。
 自分達が滅ぼした母星を後にし、混沌の海を彷徨う種族。
 しかし、彼らの放浪は終わりを告げようとしていた。
 彼らは故郷が欲しかった。


 広大な大地。
 むせ返る血臭、燻る煙。
 そこは負け無しの鬼が蹂躙を果たした戦場。
 彼らは戦いの中でしか生きられない種族。
 戦いの中、彼らは生きている意味だけを考えていた。
 彼らは世界が欲しかった。


 響く足音。
 薄暗い通路を照らす炎。
 古代の叡智の詰まった遺跡。
 紅い光を放ち、全てを貪欲に取り込む種族。
 彼らの辞書には妥協という文字は無い。
 彼らは知識が欲しかった。


 見渡す限りの草原、見渡す限りの青空。
 そんな美しい世界に、妖精は祈りを捧げた。
 戦争が終わるように。
 祝福の地を汚す争いが無くなるように。
 妖精は、拒絶と祈りしか知らない種族だから。
 彼らは平和が欲しかった。


 闇の中の闇。
 混沌の中の混沌。
 その種族は突然そこに生まれていた。
 自らのルーツを知らない彼ら。
 しかし、やるべき事、望むべきモノは判っていた。
 彼らは全てが欲しかった。


 妖精の願い空しく、その大地に争いと災厄が降りかかろうとしていた。
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