・ Saint Beast
□美しき愛と矜持
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━━━━━遅い、ユダの帰りがあまりに遅い…
先刻、大神ゼウスの布令を破り人間界に降臨した六聖獣の責任をとるため、
ユダは単身ゼウスの元へ向かった。
━━━━━あれからもう5時間も経っている。
ユダが心配になり、ルカも神殿へ向かった。
普段は穏やかな天界の夜の空気が、今日はやけに鋭い。
高速で飛翔するルカは、まるで自分の肌が切りつけられるような痛みを感じた。
夜の神殿は静まり返っていてなんの気配も感じられない。
『ユダ、どこにいるんだ…ユダ!!』
【……、ユダ殿ならあちらのお部屋にいますよ。
ゼウス様のお怒りを買い、酷い状態にされてしまいましたがね】
突然背後から声がし、ルカはすぐに振り向いた。
『お前は…パンドラ!
言え!!ゼウスがユダに何をしたというのだッ!!』
【フ…。ご自分の目で確かめたらよいではないですか】
不気味な笑みを浮かべて言うパンドラをルカは絳色の瞳で睨み付け、ユダがいる
というその部屋に飛び込んでいった。